17. ページ18
・
・
好きで好きで、恋い焦がれていたニカに抱きしめられてる。これは一体どういう状況?
夢かな?幻かな?もうわかんないや…
「あの、離してくだ、さい…やっぱり天下のアイドル様が、いちファンにこんなことしちゃダメです。」
精一杯の冷静さと理性を保ってニカに伝える。
「はい、ペナルティ、3。あっという間に溜まっていくね、まいこちゃん。ふふっ。じゃあ次の質問ね?今、好きな人いる?」
私の涙の理由には触れずにいてくれた。満面の笑みで、デリカシーもクソもない質問で、もしかして私を元気づけようとしてくれてる?不器用なりのニカの優しさなのかな。
ありがとう、ニカ。整理するにはもうちょっと時間がかかるから。今日は作られた私で許して?
ニカの腕の中からスルッと抜け出して答える。
「もちろん、二階堂さん、だよ?」
「もう!からかってるの?笑」
「そう言わせたかったんじゃなくて?私はすっかり誘導尋問かと…」
「そんなわけないでしょ!!」
そう言ってニカは私の肩に手を置く。
「ん。…笑顔になったね、まいこちゃん。敬語も消えたことだし、今日のところは退散しますか。」
「ありがとう、ニカ。」
「絶対!連絡するからブロックしないでね!ぜったいだよ!今度必ずお金返してお礼するからね!」
「倍返しで期待しておくね。」
「ふふっ、任せて。じゃあね、おやすみまいこちゃん」
「おやすみなさい。お仕事頑張って。」
・
・
ニカが部屋から出ていった途端、ペタッと玄関扉の前に座り込んだ。膝を抱えて嗚咽を抑える。
よく耐えた私。
と言いたいところだけどついついニカの前で涙を晒してしまった…
今日は一体何があったんだろ…
頭ごちゃごちゃで意味がわからない。
台湾に来て、
仕事で契約結んで(お手伝いだけ)、
夜市に1人で乗り込んで、
変なマフィア発見して、
語学と金銭面で助けてやって、
そしたらそれがニカで、
それがニカで、
大好きなニカで、、
でも私のこと、覚えてなかった。
10年も前のことだから。覚えてなくても仕方のないことだとは思う。でも…
期待なんかしちゃいけなかったな、、
次どんな顔して会えばいいんだろ…
というか本当に会えるのかな…?
大好きな人との再会は、ちょっぴりほろ苦い思い出になった、みたい。
その日の夢には、あの頃のニカがでてきた。あの日のソライロ、あの日の夕空…
54人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:greengrün | 作成日時:2019年5月19日 0時