13. 2side ページ14
今更ながら自己紹介をした。
自己紹介といっても、さっきの答え合わせみたいなものだけど。
このお姉さんには、どこか懐かしさを感じて。
お姉さんとか呼んでるけど、大人びた感じだけど、たぶん歳下だし。だからタメ口で話してる、最初から。馴れ馴れしいって思われたかな。
「えっ、と、、二階堂高嗣さん?ほんとに?」
知ってた割になぜか放心状態の彼女は、
わかりきったことを聞いてくる。
いや、もう俺顔見せてるからね!
「なんで嘘をつかなきゃいけないの!
お姉さん、知ってたでしょ?さっき名前呼んだでしょ?」
ニカ、って呼ばれたときのドキドキはすごかったけど、でも彼女なら信用できるって直感で思ったんだ。だからこそ部屋に押しかけてるし、顔も晒した。
「いや、さっきのは、知り合いに似てたから、つい。いや、なんでもないです…」
知り合い?なんのことだろ。
「なんでそんな放心状態なの?緊張してる?」
知り合いに似てるからって俺の名前が出るくらいだから、もしかして俺のファンって可能性も?
「信じられなくて、こんなところで、まさか、あれ、夢かな…」
相変わらず動揺しっぱなしの彼女。
さて、どうしよう。とりあえず名前知りたいな。もう名乗ったんだから聞いてもいいよね?
彼女に一歩近づいて、ほっぺたをつねってみる。
「夢じゃないよ、ほら、ね?」
「痛い…」
「ごめんごめん。
ね、名乗ったんだからさ!名前教えてよ!」
「あ、佐伯、です。」
どこまでも堅苦しい。俺は仲良くなりたいのに!
「苗字じゃなくて!なまえ!下の!」
「まいこ、です。」
「まいこちゃんね!ちなみになんだけどさ、俺たちのグループのこと、知っててくれてる?」
まいこちゃんが一瞬考えるようなそぶりをした。
え、もしかして本当に人違いとか?ニカっていう知り合いが別にいるとか?
不安が押し寄せる。
いや、最近俺たち名が知れてきてるし、グループくらい、知ってくれてる、よね…?
「もちろん、知って、ます。というか、ファンです。」
これはめっちゃ嬉しいぞ!
だから緊張してたのか、それなら納得!
「ありがとう!めっちゃ嬉しい!」
「いや、こちらこそ、こんなところで会えるなんて。でも、ここにいるのはさすがにまずいのでは…?」
まいこちゃん、報道のこと心配してくれてるのか、優しい子だな。
「それなら大丈夫!このホテル、俺らも泊まってるから!」
俺がそう言うと、ポカンとした顔で見つめてくる。
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作者名:greengrün | 作成日時:2019年5月19日 0時