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はぁ〜〜
空に向かってため息をついた。
今日も激務だった。
この会社に入社して1年。
営業部に配属されたのは半年前。
昔から元気と笑顔と社交性だけが取り柄で、
そのコミュ力を買われて
滑舌が悪いのにも関わらず、営業部に配属された。
ようやく仕事にも慣れてきた。
上司も同期もみんな優しくて、明るくて、
悩みがあったらすぐ相談できる、
そんな理想的な職場。
でも仕事に関しては厳しい。
当たり前だけど。
やり甲斐はある。とっても。
だから明日も頑張ろって思える。
「佐伯おつかれ!今日も大変だったなぁ。」
オフィスに戻って早々、
声をかけてきたのは直属の上司、児玉さんだ。
歳は10個上の34歳。
結婚して子供もいて、
まさに理想な家庭を築いている素敵なパパさん。
彼が教えてくれるから
私がどんなに不器用でも
なんとかやっていけてるのだ。
感謝してもしきれない。
「お疲れ様です!」
疲れはMAXの金曜の夜。無理に笑顔を作って見せた。
「佐伯、突然で悪いんだが、来週月曜から出張で俺と台湾行くぞ。元々他のやつを連れて行くはずだったんだが、インフルになっちまったみたいで。」
…………今なんとおっしゃいました?
配属されたばかりで、
営業成績なんて言わずもがなまだ下の下だし
中国語なんて全く話せませんけど!
「私、ですか?私なんか連れて行って、足手まといになりませんかねぇ、」
海外に行くのは好きだ。実際、大学の頃1年間イギリスに留学した。だから大学卒業に5年がかかっている。24歳だけど2年目なのはそういうこと。だからと言っていきなり台湾に行かされて仕事になるのか、というのは別問題だ。
「何を言ってる、佐伯の頑張りはわかってるつもりだし、期待もしてる。それに今回は非常事態だ。頼む、協力してくれ。」
押されに押されて
私は頷くほか選択肢はなかった。
「では、月曜日に。」
児玉さんと別れ、オフィスを出る。
羽田発の航空券を手にしてまたため息。
でも
私の取り柄はポジティブなところ!
この際だからおいしいものたくさん食べよ!
観光もしてみたい!
帰りの電車に揺られながら
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仕事への不安は消えていた。
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作者名:greengrün | 作成日時:2019年5月19日 0時