離してください、バッハ様 (ページ1)

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彼女ページ1

仕事の帰り道

ふと、川が見たくなった

俺は乗っていた車から降り、気が向いたら帰ると伝え河原へと足を運んだ

あの時は何で急に川が見たくなったのかわからなかったが

今になるとあれはお前と出会うために仕掛けられたものだと思う

いわゆる運命というやつだな

＿＿ポロン♪

河原へと足を運ぶとギターの音が聞こえた

まだまだ全然なっていなかったが

きれいな音色だった

俺は自然と音のする方へ進んでいた

「～♪」

「！」

次はギターと共に歌声が聞こえてきた

なんてきれいな声なのだろう．．．

ずっとずっと様々な音楽を聴いてきたが

これほどまでに心に響く歌声は初めてだった

そして俺は彼女が歌い終えるまでずっと後ろで聴いていた

「…ふぅ……」

歌い終わったようだ

「素晴らしい曲だった」

「！？」

どうやら俺が後ろにいたことに気が付いていなかったようで

驚いた顔をこちらに向けた

「！

ど、どうした」

振り返った彼女は泣いていた

「ぃ…

いや…なんでも…

ありがとうございます…」

「あぁ。

…何故泣いているかは知らないが

俺は君の歌が気に入った

うちへ来ないか？」

この歌を趣味だけで終わらせてはいけない

「…え？」

俺のモノにするべきだ

「大丈夫

君にもっと音楽を教えてやろう」

そういうと彼女は無言で頷き

俺についてきた

＿＿これが俺とAの出会い。