損な ページ10
『虎澤一生が来た！』
戸惑いと歓声が巻き起こる。
…虎さんが現れた途端、なんだか世界の色が一気に変わったみたいで、ライトでキラキラ光る横顔がまるで救世主で……。
思わず見惚れる姿に、自然と頬が緩む。
各寮の面々や、仁さんまでも、なんだか嬉しそうだ。
……いや、仁さんが一番嬉しそうなのは気のせいだろうか。
湊がにこにこしながら呟く。
「わーお白寮せいぞろいだねー。めでたしめでたし」
幽も続く。
「やはり稀人介入の予感は当たっていましたか……」
「虎さん、元気そうで何よりですね」
私も2人に連なってつぶやいてみた。なんだかこうゆうの、仲間っぽくていいな。
千鶴が負けじと顔をしかめ、多分巳影に向けて言い放つ。
「誰がいようがいまいが最強は仁さんなんだから、徒労に終わるのに。」
巳影は千鶴を一瞬見たが、虎さんに向き直った。
……巳影と敵対してるんだ、と改めて感じ、なんだかほんのり悲しい気がした。まあ気のせいだ多分
「Aは、いっせいさんが来たから何かかわると思う？」
「…湊らしからない話ですね。」
急なマジトーンの質問に、こそばゆさを感じた。当の本人はそうかな〜と相変わらずにこにこしながら微笑む。
「……虎さんは、仁さんに対抗できるでしょう…」
湊だけじゃなく、幽も私の方に顔を向けて話を聞いてくれている。
「それに、うちは凛太朗も、なんなら雛次君もいないのに向こうは総員になったんです。」
…つまり
「…白寮の勝利が見えてきている…」
「…ですね」
いいところを幽に言われた。
湊はそっか〜、と笑った。
……千鶴に聞かれてたら殺されるのでこれ以上この話はやめておこう。
……気分も悪くなってきたので、白寮のライブを見ようか迷い、
ステージで吐いたら一般生徒達にとって夢だとしてもトラウマもんだな！と自己完結したので、幽に一言告げてからログアウトした。
☆
目を開けると、春日山城の一室。和室自体新鮮なのでまだ見慣れないが、厳格な雰囲気と畳の香りは割と好きだ。
隣のゆめシステムにログインしたままの千鶴の頬っぺたをなんとなくつついてから立ち上がり、ゆめマスクを外して私に与えられた部屋に向かった。
気分が悪くてログアウトする、と幽に伝言を残してきた。
……でも、本当は、白黒付ける瞬間に立ち会いたくなかっただけだ。
…勝負事にはいつだって負けがつきまとう。負けるのも、負かすのも好きじゃない。
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クウ(プロフ) - 初めまして。続き楽しみです。 (2020年7月25日 17時) (
レス) id: e1d577414c (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - るーさん» 返信が遅れてすみません。ありがとうございます！短編集の件ですが、なかなか更新できていなくて、もう何話か書いてから公開しようと思っております。それまでお待ちいただけると嬉しいです！！ (2019年9月3日 7時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
るー - 夢主ちゃんがすごくタイプで好きな感じです。ストーリーも面白いです！これからも応援してます！もしよければ短編集の方のパスワードを教えてもらってもいいですか？ (2019年7月30日 23時) (レス) id: e7803b918a (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - レス返せてなくてすみません！どの激励のお言葉も嬉しく読ませていただいています！！二期始まる前に完結させれるように頑張ります……！！ (2019年7月26日 16時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
hermes753(プロフ) - 初めまして!めっちゃくちゃ面白くて一気読みしちゃいました。更新待ってます!!! (2019年6月18日 0時) (レス) id: 8867b9a324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハト | 作成日時：2018年11月29日 11時
