○※ ページ24
由仁君は元々大きな目をさらに大きく見開き、口を開けたまま静止した。
雛次君はどうすればいいのかわからず、あわあわと由仁君の周りで戸惑っている。
「ゆ、由仁君……」
「ぁ……」
「由仁君、私」
途端、由仁君は絶叫しながら泣き始めてしまった。
「あぁ…落ち着いて、ユニちゃん……」
雛次君は宙をただよわせていた手をようやく由仁君の肩に置き、なだめ始めた。
全然なだめてどうにかなる感じじゃないけど。
「……Aさん」
「う……」
雛次君は私を見て、なんと言うか、軽蔑をするような、諭すような、絶妙な表情をした。
「彼は悪くないでしょ…どうしてそんなに強く当たってしまったんだい？」
若干声が震えている。私と同様、後輩がこんなに派手に泣いているのをみて焦っているのだろう。
焦っている……そう…彼は焦っているんだ
「あ、貴方が……そんなことするから…」
「僕が悪いって言いたいのかい？」
「貴方がッ……そんな、自分の事考えずに……」
いや、ある意味彼は自分の事しか考えてないんだ。
後先考えずに今の自分が良ければ良いとか、そう思ってるんだ。
…………いや、だからと言って由仁君を泣かせたのは私であって、彼のせいにする事じゃない。そんなのは分かってる…分かってる、、。
冷静に考えてみると、声を荒げて感情任せに言い争いをした事なんて無かった。なぜ急にムキになったのか。
細い指で、何度も溢れ出る涙を拭おうとする由仁君を見て、途端に罪悪感でいっぱいになってしまった。
「Aさん？聞いてるのかい……」
雛次君も少しばつが悪そうに目を泳がせ始めた。
こんな朝っぱらから下らない口論をして、更に関係のない由仁君を巻き込んだことは彼も分かっているんだろう。
「…ちょっと……あたまを、冷やして来るので」
「Aさん…………えっ！？ちょっと、どこに行くんだい！？」
泣いている(というか泣かせた)由仁君をほっといてしまうのはだいぶクズだが、そんなものは構うもんかという態度で部屋を出た。
何故出てきたのかは自分でも分からない。ただ、本能的にあの場にこれ以上いる事に耐えられなかったからなのか。
そんなことを冷静に考えているうちに、早歩きから小走りになっていた。
東雲の敷地を出て、ようやく今日が成績に大きく響くテストだと言うことを思い出したが、もう遅いと、いつの間にか出ていた涙を飲んだ。
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クウ(プロフ) - 初めまして。続き楽しみです。 (2020年7月25日 17時) (
レス) id: e1d577414c (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - るーさん» 返信が遅れてすみません。ありがとうございます！短編集の件ですが、なかなか更新できていなくて、もう何話か書いてから公開しようと思っております。それまでお待ちいただけると嬉しいです！！ (2019年9月3日 7時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
るー - 夢主ちゃんがすごくタイプで好きな感じです。ストーリーも面白いです！これからも応援してます！もしよければ短編集の方のパスワードを教えてもらってもいいですか？ (2019年7月30日 23時) (レス) id: e7803b918a (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - レス返せてなくてすみません！どの激励のお言葉も嬉しく読ませていただいています！！二期始まる前に完結させれるように頑張ります……！！ (2019年7月26日 16時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
hermes753(プロフ) - 初めまして!めっちゃくちゃ面白くて一気読みしちゃいました。更新待ってます!!! (2019年6月18日 0時) (レス) id: 8867b9a324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハト | 作成日時：2018年11月29日 11時
