２８：鶯丸 ページ28
〈そんなにお茶が飲みたいなら、私がいくらでも入れてあげるじゃない！なんであんなやつのことばっかりなの！？〉
_______『....いや、大丈夫だ。』
俺たちにとっての主は、Aだけだから。それだけさ。
『古備前の鶯丸。名前についてはよく分からんが、まあよろしく頼む』
「....うぐが分からなかったら、私はもっと分からないねえ。ま、よろしくね〜！」
よっぽど名前について何か知りたいことがあるのか、本当に分からない？だとか何か思い出したりしないの？だとか聞いてきつつ、終始にこにこしていた主。
どこの部屋に行きます？１人？誰かと一緒？？と気を使いながらもぐいぐいと手を引っ張っていく主を見て、人の意見を聞く気があるのか...？とか随分と頑固そうだなとか思ったのも懐かしい。
「うーぐー！」
ちょっと、今日内番！１人で頑張ってくれてるんだけど！？
大きい声でそう叫ぶAは、怒っているつもりだったんだろう。でも俺から見れば可愛いもので、いつも笑っていた。それを聞いてさらに怒るAを宥めつつ、内番に行くのが恒例だった。
毎度毎度のことなのに、Aは呆れるでもなく、放っておくでもなく、いつも声をかけてくれた。
怒るAが見たいから、なんていう理由でやっていたなんて言ったら、なんて反応するんだろうか。また怒ってくれるのだろうか。
「はあ、疲れた.....一緒にお茶飲む？」
Aが疲れているときはもちろん、Aがちょっと休みたいとき、俺が疲れているとき....。
疲れた、と前置きをしてからお茶を飲もうと誘ってくれた。俺を気遣ってなのか誘ってくれたときに断ると、じゃあ私に付き合ってよ、とそう言って隣で他愛もない話をしてくれた。
俺に話すように促すわけでも、気を使ってべらべらと喋るわけでもなく、時々喋りながらも落ち着くような空間を作ってくれたAは、どれほど必要な存在だったか。
Aは、誰よりも自分を犠牲にして、誰よりも他人の変化に気付いて、誰よりも他人のことを考えていた。
でもそれを、俺たちは特別だとは思えていなかった。きっと、それが当たり前だと思っていたんだ。
最後には、主は感情を隠すのが上手だから、なんていうこじつけの理由をつけて、乗っ取られつつあった状況に気づかずにいた自分たちを正当化するしか方法がなかった。でも、正当化できなかった。
俺たちを理解してくれたのに、理解しきれなかった俺たちを、どうか許してほしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 262人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
味海苔(プロフ) - ポチャエモンさん» 気付いてませんでした...態々ありがとうございます！！番号の振り方を間違えてたみたいです...次更新するときに変えておきますね。本当にありがとうございます！ (2019年2月9日 11時) (
レス) id: 5d9a052c04 (このIDを非表示/違反報告)
ポチャエモン - 28話と29話が抜けてますよ〜！ (2019年2月7日 17時) (レス) id: 84f02aef57 (このIDを非表示/違反報告)
味海苔(プロフ) - チェシャさん» おめでとうございます〜！何度もコメントありがとうございます！！受験勉強精一杯頑張ります、応援ありがとうございます！ (2019年1月4日 21時) (レス) id: 5d9a052c04 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ - あけましておめでとうございます！受験頑張ってくださいね！ (2019年1月4日 12時) (レス) id: bce2687db4 (このIDを非表示/違反報告)
味海苔(プロフ) - チェシャさん» すいません、本当にありがとうございます...！またこの作品に戻ってきたら、よろしくお願いしますね (2018年9月7日 20時) (レス) id: 5d9a052c04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：味海苔 | 作成日時：2017年8月9日 14時
