325.来てくれたよ 即修正 ページ39
「これでも、状態はいい方なんです
見た目は…すごいけど」
機械音や電子音があちこちから鳴る
でも妙に静かな広い部屋に
お兄さんの静かな声が響く
「A、淳太くんが来てくれたよ」
顔を近づけて話すその優しい声
数ヶ月前にも聞いたその言葉
あの時は
すぐに俺を呼ぶ声が聞こえたのに
今までとは比べ物にならない程の状態で
眠り続ける彼女
ふらふらと足が動き
ベッド横にすがりついた
「A……電話出なくてごめんな」
拘束された先の細い指を撫で
ゆるく握る
部屋の温度よりも冷たいその手は
普段より白く見えた
「声が聞きたかったんだろ？
よかったなぁ
あんな時間に電話したって
出れるわけ無いだろ？w」
いつもの調子で話し続ける
お兄さんの声を
ただただ聞いていた
『淳太、ちゃんと覚悟せぇ
姉ちゃんの病気と向き合え』
覚悟なんて出来るかよ
向き合いたくなんかない
無力な自分に絶望するだけやんか
いつでも連絡しろって言ったのは俺なのに
なんでAが本当に助けを求めている時に
気が付かないんや
ホンマに
ホンマにごめん
頬や口元に何かを拭った跡
いつもと違う病院の服
指先が赤く腫れていて
一部分が切れている
昨夜の様子がまだ残る姿に
言葉が出てこなくて
ただただ彼女を眺めていた
・
「そろそろ…時間だね」
滞在時間は10分と決められている
もう10分経ったんか
離したくない
この手
…
『側に居て…お願い』
『ありがと、王子様』
…
彼女の声が頭に響いて
心臓が握りつぶされる程に痛い
心が現状を理解して
ようやく痛みを感じた
「Aの病室に行きましょう
昨日の事、説明します」
肩をポンと叩かれて
お兄さんの声がするけれど
時間差で来た心の痛みに
今度は頭が追いつかない
「電話…気が付かなかったんです
あんなに掛けて来た事なんて
今まで無かったのに
俺………気が付かな…」
痛む胸から何かが込み上げて来る
「気にしないでください
とりあえず…ここ出ましょう」
必死に堪えながら
もう一度手を撫で
「また来るからな」と声をかけ
お兄さんの背中を追った
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向日葵(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます！気がついたら残りが少なくて焦ってます汗あと10話程度に詰め込むか…続編にしてダラダラ書くか…縮めるような文才が無いのは致命的です笑のんびりお待ち下さいませ😊 (5月26日 9時) (
レス) @page37 id: 06dabafe54 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - お忙しい中更新ありがとうございます。本当に嬉しいです。今後の展開を想像するとギュッと胸が苦しくなりますが、最後まで皆の想いを見届けます！私も一気に読みたい気持ちと少しずつ読みたい気持ちがグルグル(笑)いい子にして更新をお待ちしててますね (5月26日 7時) (レス) @page37 id: 146cf31383 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 凛さん» いつも優しいコメントありがとうございます(´；ω；｀)書きたかったシーンの１つでした。パスはスグに開放すると思うので、前作の２人がいちゃいちゃしてた辺りを読み返してください😊※私も読み返してます (5月9日 12時) (レス) id: 06dabafe54 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 今日も今日とて切な苦しいですね｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ。素敵なお話共有してもらえて本当に有難い限りです。いつもありがとうございます。パス解除早くても早くなくても前作読み返したりしながらお待ちしていますね (5月9日 3時) (レス) @page13 id: 4ef99da948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：向日葵 | 作成日時：2023年5月6日 19時
