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それでも潤くんにも、Aにも、言えなかった。
俺がこんな外道なことをしているなんて。
幸せそうな二人を、壊せなかった。俺は二人にとって“邪魔者”でしかない。
ちっとも笑えない。何で俺は主役ではなく、邪魔者の役回りなんだ。
俺だけがあの頃から進めないまま、立ち止まっていた。
時間軸はあの頃で止まったまま、ココロはもう空っぽ。
もう“好き”だなんて、言えるはずもない。
どうしようもない想いだけが重みを増すばかりだった。
そんなとき、唯一チエちゃんだけがクズな俺の味方をしてくれた。
多分彼女がいなかったら、俺はもっと酷い末路を辿ることになっただろう。
「二か月持った。だから今日はお前の奢りな」
「嘘でしょ？」
「マジ。まあまあ好きになったけど、すぐ連絡しろとかうるせぇから切った」
仕事帰りに居酒屋で落ち合った。
きっちりと締められたネクタイを緩めながら、生ビールをグビッと喉に流す。
「あのね、連絡返すぐらいは面倒臭がらずしなさいよ」
「無理。だって内容ねぇもん。毎日“好き？”とか訊かれるんだぜ？めんどくせぇ」
「アンタが素っ気ないからでしょ？」
「俺も忙しいんですぅ」
大学を卒業してから二年目。社会人二年目の頃。
カラダを満たすだけの恋愛はやめて、ちゃんと一人の女と付き合う恋愛に切り替えた。
だけど持って一か月くらい。それを倍に更新した彼女とも昨日で別れた。
あっけない終わりに、何の感情も湧き出なかった。
結局心から好きになんてなれないまま。
こんな恋愛を繰り返しても、俺にはアイツしかいない、と思わされるだけ。
何から何まで逆効果でしかない。忘れたいのに、時間が経つ度に染み付いて行く。
こびりついたカビみたいに、どんどん繁殖して行く。
「ねえ、二宮」
「ん？何だよ」
「まだ好きなの？Aのこと」
チエちゃんが少し心配そうな目で俺を見て来た。彼女がそんな目をするのは珍しい。
だからバレたらまずい、と反射的に察知して、その視線から逃げるように煙草を口に咥えて、ライターで火をつけて煙を吸い込んだ。
ふう、と煙を吐き出して、感情をひた隠しする。
「好きじゃねぇよ」
「嘘」
「嘘じゃない」
「じゃあ今誰のこと考えてた？」
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やっち(プロフ) - こんにちは。パスワード教えてほしいです (2021年10月24日 8時) (
レス) @page50 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
妃紀(プロフ) - ともさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました。お互い片想いしてたのですが、すれ違ってしまい、数年越しにやっと結ばれました！これから先は「結婚しよっか？」と彼は言い続けることでしょう(笑) (2019年10月29日 18時) (レス) id: ad41dd4440 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 初めまして。やっとここまで辿り着きました！お互いにずーっと片思い？すれ違ってやっと繋がれた。もぉー感動しかないです。｢結婚しよっか？｣の言葉に号泣。 (2019年10月26日 16時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
妃紀(プロフ) - えりさん» コメントありがとうございます♪最初は本当にじれったすぎて、甘さは控えめでしたが、最後はもう甘さの加速が激しかったですね(笑)こちらこそ、長い間お付き合い頂きありがとうございました。 (2019年2月5日 23時) (レス) id: ad41dd4440 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 完結ありがとうございます！ジレきゅん(^^)最初がジレジレだったので、最後のキュンのラストスパート最高でした！最初のジレが無かったんじゃないかと思うくらいの甘い終わり方、大好きです(^^)朝から幸せな時間ありがとうございます！ (2019年2月5日 8時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年10月9日 20時
