気持ちの不均等 ページ21
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二宮の気持ちをハッキリと断れない私はズルいんだと気付く。
今更のことに気付いた。単純なことに目を向けずにやり過ごしていた。
「珍しく酔ってんじゃん」
「酔ってないよ」
二宮の家に着くと、バタンとソファに倒れ込んだ。お酒を飲み過ぎた。
「ねえ」
「ん？」
アルコールのせいにしよう。変なことを口走ってしまっても全部お酒のせいにしよう。
そう思って、口を開けた。
「いつから、私のこと好きなの？」
多分この質問はズルいんだと思う。
大学生の頃は二宮にも彼女はいた。私はその頃、二宮が少しだけ好きだった。
だけど友達の関係が心地よかった。
だから「恋」と呼ぶまでには感情は膨れ上がらずに消えた。
その間に潤くんと出会って、付き合うことになったこともあり、二宮への感情は友達として好きのまま止まっていた。
それ以上でも以下でもない。
二宮だって私のことをそう見ていたと思っていたから。
「大学生の頃からだよ」
ふざけて返されるかもしれないと思ったけど、二宮の声色は真面目だった。
「Aが、潤くんと付き合う前から」
「え？」
「ずっとお前のこと好きなんだよ、でも関係が崩れるのが嫌だった」
煙草を口に咥えた二宮は、「冗談でしか好きって言えなかった」そう言いながら火をつけた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
