_________ ページ42
.
目の前でおこなわれたハーレム？で途中だった廃棄チェックと発注した商品の陳列も終わっていよいよ暇になった。
現在の時刻は4時45分。もう少しであがれるけど…
今日はあの人くるのかなぁって、、ある常連さんを思い浮かべてたら、まさにその人がこっちにくるのが窓から見えた。
さっきのわんこさんよりも高頻度で、ほぼ毎日顔を合わせるその人は、いつもちょっと眠そうで。
猫背でポケットに手を入れながらたらっと歩く姿は気怠げで、どこか色っぽい。
多分服装も相俟ってそう見えるんだと思う。皺のない高そうなスーツに、俺でもわかる高級腕時計をつけてて。
きらりと光るピアスも、綺麗な指に嵌められたリングも、その人につけられるために存在してるみたいに輝いてる。
sk「いらっしゃいませ」
その人はいつも入口付近の肝臓水解物のドリンクと、お水とたばこだけ。
たばこもどれなのかわかるから、レジに来る前に用意しておいた。
fk「覚えててくれてありがとね」
sk「へっ？」
fk「これ」
はじめて聞いたその人の声は、ふわっと馨る香水みたいに甘くて。
トン、と指差された箱から顔を上げたら、目にかかった髪と同じ色の黒い瞳が優しく細められた。
fk「番号言うまえにとってくれるでしょ？お礼いわなきゃなってずっと思ってて」
sk「ぃ、いえ…」
ずっと見つめてたら吸い込まれそうで、視線を元に戻して手を動かした。
sk「お会計1159円です、…っ」
fk「ねぇ、名前おしえて」
カルトンに置かれたお金をとろうとした手をそっと握られて、大袈裟に体が跳ねる。
fk「…やだ？」
いやじゃないけど、…おしえないと、手はなしてくれない気がして。
sk「…さくまだいすけ、です…」
しまった！ついテンパってフルネームいっちゃった、
fk「かわいい名前」
sk「っ！」
はじめていわれた、おれ男なのに…！
こんなの、マンガでしか知らないよぅ…
sk「い、1円のお返しとレシートですっ」
fk「はぁい」
全身が熱くなって、おまけに声まで裏返ったのが恥ずかしくてしょうがなくて。
fk「またね、さくちゃん」
彼が自動ドアをくぐる前にそう呟いていたのなんて、まったく耳に届いていなかった。
fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 663人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：微.
| 作成日時：2023年7月29日 1時
