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舞台2 ページ2

名も知らない演者なだけあって特別演技が上手いわけでもないな、と景吾は感じた。正直なところを言えば退屈だった。
イマイチぱっとしない役者を見下ろしながらそんなことを考えていると場面が変わった。

ジュリエット役の女優が姿を現す。
原作が14歳の少女という設定だからか、大人びた美しさの中にまだ少女らしい可憐な仕草を見せる。
舞台から距離のある関係者席にも関わらずその女優の存在感は圧倒的なものだった。

景吾は息を呑んだ。
足のステップ、手振り、瞬き、息遣い全てが美しく洗練されている。
景吾は慌てて貰ったパンフレットを捲った。暗がりで名前がよく見えない。

もどかしい、知りたい。あの女優を知りたい。

再度顔を上げるとジュリエットは舞台袖にはけようとしていた。
そのあとの話は入ってこなかった。
ジュリエットが舞台に出てこれば彼女を目で追ってしまうし、彼女の澄んだ良く通る声でロミオに愛を誓う姿は見ていて苦しくなった。

跡部景吾はこの名前も知らない女優に一目惚れしてしまったのだった。

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作者名:あやめ | 作成日時:2019年1月15日 18時

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