春なんてさよなら 《勝利》

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聡「アイスのお金は俺が全部出すから」


「え、いいの？」


聡「だって俺が言い出しちゃったしね〜」









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聡「購買を理由に二人で話したくてさ〜」


久しぶりにってこと？







「うん、なに話すの？」


聡「え…何って得にないけど！？」







身振りが大きくて

慌ただしい聡ちゃんに少しだけ危険を感じる








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聡「なんか最近さ勝利ばっかじゃん？」


「勝利くん…？」






見ていた横顔の向きが変わって






目が合うと

優しくない哀な瞳に引き込まれそうになる









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いつもの聡ちゃんじゃない

瞬時に脳が判断する








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逸らされた目線の先は何処か遠くで


アイスクリームなんて
買うの面倒くさいんだろうな、なんて








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「アイス買う？」



聡「うん！風磨くんとマリウスのもついでにね！」









アイスクリームの入った袋を手に持って

ヘラヘラって笑うからさ









さっきの哀なんて嘘かな？って思う


見間違いかな？









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ニコニコしている聡ちゃんを横目で見てたら


突然、声質が変わって









聡「俺の悲しい表情見えてたら忘れてね」


って言葉が耳に伝わる

聡ちゃんを見ると








口角を上げてウインクしてくるから

困るじゃん







忘れられない哀だよ、

心底困るよ。

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