15個目 原点で起源にして、頂点 ページ15
母の話を少し。
高級娼婦の母を国王の父が見初め、王宮に迎え入れた。ありきたりな、話。
［キョウカ］
娼婦という立場で入室した。きっと並ならぬ苦労があっただろう。
しかし彼女は気高く美しかった
凛とした声が好きで、笑顔が大好きで。本当に本当に、大好きだった。
［貴方はかわいい。貴方は美しい。その心は忘れないで］
『うん』
私の唯一で、全てだった。
だった
ある日、ぽっくりと逝ってしまった。
原因不明の死。持病があったわけでもないのに。彼女は死んだ。
すぐに彼女は骨になり、彼女は王家の墓に埋められた。
奇しくもその日は私の誕生日で。
墓の前で、小さくなった母を見下ろす。側には14人。
［な、そろそろ戻りましょう。お身体に触ります］
天気は嫌になるくらいよく晴れていて、神様が母の死を祝福してるのかと思うくらい良い天気で、反吐が出た。
王家の墓に埋められた母。自由で、自由に、自由な、じゆう
［駄目だ］
私の中で弾けた何かは私の体を蹂躙し、墓の前に座り込む。そして、骨壷が埋められたあたりの土を掘り返す。
［何してん！？］
駄目じゃないか。駄目だ。よくない。なんでこんなところに埋めたんだ。
［こんな場所、お母様に似合わない！］
誰よりも自由で眩しくて美しかっんだ。こんな土まみれなんて似合わない。
［駄目や！やめ、やめてください！］
［離せ！］
沢山の手を振り払い、私は土に手をかける。爪を立てる。腕を引く。
［辞めろ］
両手首を捕まれ、上げられる。見上げると、金髪の男は表情の読めない顔で私を見つめる。
［はな、して・・！！］
［お前が汚れる必要はない］
［いいから、離せ・・！！］
［キョウカ！！］
久しく呼ばれていない名前に理性が戻ってくる。力が抜けて、その場にへたり込む。
空を見上げると、天気がいい。まるで母の笑顔で。
［・・っ、う］
両手が離れ、私は立ち上がって墓を見下ろす。
［王女］
厳格な声に振り返れば、14人は片膝をついて頭を垂れる。その一番前に跪いてる男は顔を上げた。
灰色の瞳は、私を写した。
［我ら十四人。
二十八の手、足、瞳。
全てあなたのために汚しましょう。
貴方の一部となりましょう。
貴方の自由にお使いください。
それが我らの本懐でございます］
［御命令を。我ら最愛の王女様］
あのとき、彼らの瞳に私はどのように映ってたんだろう。
［私の、大切なものを壊された。
私は不愉快で不快で仕方がない。
不届き者を、私の目の前につれて来い。］
［御意］
それを知る術は、見当たらない
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あまね(プロフ) - この作品大好きですううううううううう (10月1日 21時) (
レス) @page20 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ミイ(プロフ) - 毒舌で芯のある女の子大好きです。一目惚れしました。マジカッコイイ。天才。 (2022年2月18日 20時) (レス) @page20 id: e16e3e06be (このIDを非表示/違反報告)
ぴく(プロフ) - 今までになかったこのクセがある作品が大好きですです。作者様の気が向くまで私たちはいつまでも待っていますよ。 (2021年9月27日 17時) (レス) @page20 id: 8f6e3156ea (このIDを非表示/違反報告)
雨音 - 更新楽しみにしてます！ (2021年3月24日 13時) (レス) id: 13ab585311 (このIDを非表示/違反報告)
ぱずる(プロフ) - 主様の作品、私が思い描いていた通りのもので本当に楽しく読ませていただいております。無理せずに更新していただければ幸いです。これからの更新も楽しみにしております…!! (2021年3月18日 19時) (レス) id: d66a5d749d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2020年3月19日 22時
