3話目 〃 ページ15
［チッ］
青行燈はふっとその場から消えてしまう。空気の重みも消え去り、全て元通りになった。
『・・ひとら』
振り向いた彼の顔が見れない。逆光で顔に影がかかってる。思わず手を伸ばすと
ぎゅう、っと丸文字で描かれそうな効果音。いつも以上の熱いハグに思わず鼓動が早くなる。
ht「こ、怖かったぁ・・・っ！！」
さっきのかっこよさは青行燈が連れて行ってしまったのか、彼の体は小刻みに震えてる。
『よしよしよし』
ht「何してたの・・？」
声から仕事終わりの疲労感が滲み出る。彼の背中をなでながらことの経緯を説明すると
ht「いや何してんだよ」
ドン引きされた。私がどれだけ暇だったか分かったようだな。
『まさか出てくるとは思わなくって。いやいい経験したわ。二度とやらねえ』
ht「俺ももうあんな思いしたくない。今週の休み一応寺行こう寺。お祓いしてもらおう」
『休みとれるの？』
ht「取る」
頑張れと他人事のように応援しておく。ひとらんは落ち着いたのか、私から離れてまた一つため息。
『よく私が襲われてるってわかったね』
ht「だってドア開かなかったし。キョウカと誰かの声聞こえるし。ドア開かなかったし！！！」
ドアが開かないとかホラゲーの定石だな。あれ？どうやって開けたんだ？視線が。ドアに移動する。
『・・・ひとらん？』
ht「緊急事態だった」
『どうやったらドアがひしゃげるの』
ht「マーシャルアーツ」
『殺人級か』
あの可愛そうなドアはあとで修理してもらおう。どこに電話すればいいの。ドア専門の修理屋とかある？
ht「開けたらキョウカ苦しそうな声だったし、なのに誰もいないし・・散々だわ」
『ビビリなのによく助けに来てくれたね』
ぶっちゃけ本気で死ぬと思った。ひとらんらんはへにゃりと青白い顔で笑う。
ht「そりゃあお化けは怖いけど、キョウカが傷つくほうが怖いから」
その言葉に、顔が赤くなるのを感じて手で隠す。何だこの男最高かよ愛してる。
一段落して、蝋燭を二人で片付ける。
『いやでも凄かったわ。楽しかった。死にかけたけど』
ht「ほんっと、怖いもの知らずだね。キョウカに怖いものないの？」
『あるよ』
ht「え゛」
そんな目をかっぴらいて驚くか。私がびっくりだよ。
ht「なになに」
興味津々なのか、ひとらんの手が止まる。私は笑って
『貴方と一緒にいれないことたよ』
たとえ楽園に招待されたとしても、貴方がいないなら地獄に等しいからね
ht「はは、俺のこと好きじゃん」
『当たり前だよ愛してるもん』
ht「俺も」
彼の熱が唇に伝わり、瞳の黒曜石が美しく輝く。
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まうるもち - 好きです....文章が神.....いつの間にか読み終えていた不思議 (2019年10月7日 23時) (
レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 紫龍さん» 誤字ですごめんなさい！ご指摘ありがとうございます！ (2019年10月3日 6時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
紫龍 - 碧月さん» 失礼します…knさんの2条目『後者裏』って『校舎裏』の事ですか？誤字とかじゃなかったらすみません！！ (2019年10月2日 23時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - アルムさん» ご指摘ありがとうございます！ (2019年9月29日 9時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - コメント失礼します！碧月さんの作った小説はやっぱ神ですね！途中で気づきましたがemさんの小説の六限目の２０行目の「…そらは愛おしさへと…」は「…それは愛おしさへと…」じゃないでしょうか？間違ってたらすみません！更新楽しみにしています。 (2019年9月29日 8時) (レス) id: 9866a4ca3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2019年9月17日 6時
