34件目 世界は広がる ページ35
〜grサイド〜
［行ったことも見たこともないから分からない］
［純粋で素直で無垢でどうしようもなく狂ってる］
二人の女性の言葉が、頭の中をぐるぐると回る。
目の前の女の子は、視線を左右に動かし、目を輝かせる。年相応だ、と思う反面、やはり言葉が引っかかる。
gr「(・・成長しきって、ないのか？)」
城下町に行けない、というのはまだ納得がいく。成人していない、しかも唯一の王女となれば過保護になるのも当然だ。
だが、城に来る交易品を見たことがないとは？
考えられる理由はいくつかある。真っ先に上がったのは、［軟禁］
こいつが王宮にいるということは、国王は娼婦を側室として囲ったのだろう。娼婦の子となれば、白い目を向けられるのも当然だ。
しかし、どうしても、それが、軟禁の理由に繋がらない。国王も人間だ。王宮に囲いたくなるほど愛した女の娘を軟禁するだろうか。
娘を大事に思った結果だとしたら、だとしたら、何故娘は父親に関心を示さない。
現に彼女は、国王を一度も父親と呼んだことが無い。
『・・グルッペン？』
gr「ん、どうした？」
急に黙ったからだろう。彼女は不安げに自分を見上げる。
『いや、お前がどうした。』
なんでもないといい、足を早める。
だが、ふと思い立って足を止める。
『えっなに情緒安定させろよ』
gr「少し見て回るか」
『は？』
少女の目には困惑と、だが確かに、そして微かに喜びの色が映る。
gr「なに、向こうもどうせ息抜きをしてるだろうしな。」
『・・いいの？』
gr「少しだけなら、な」
よっしゃあと元王女らしからぬ言葉遣いと力強いガッツポーズを決め、すぐに横にある雑貨屋へと足をすすめる。
目の前の、自分の髪すら愛着なく切り捨てた少女。
自分の国を壊そうと、奔走する王女。
父親と口を利かなくなったのには、何か理由があるのだろう。国を壊そうとする動機が、そこに繋がってるのだろうと、何となく考える。
聞けば教えてくれると、御者は言っていた。
まぁ、だが。
『なぁ、グルッペン。これどっちがいいと思う？』
年齢よりも幼く楽しく笑う彼女を見てると、こちらも思わず笑みが感染する。
聞くのはまた、今度にするか。
gr「何が違うんだ？」
『はー、つっかえ』
いや腹立つなこいつ。
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ネメ - grちゃん視点のヘラちゃんのシーンマジで鳥肌立ちました...文才神... (5月18日 1時) (
レス) @page22 id: eb05b364fd (このIDを非表示/違反報告)
ノコキノ - めっちゃ面白いです！夢主の性格がなんかカッコイイし…！更新頑張って下さい！続き楽しみです！ (2022年3月2日 16時) (レス) @page46 id: d2ad17c9e0 (このIDを非表示/違反報告)
himahima(プロフ) - え...かわいい...好きです (2021年7月28日 4時) (レス) id: aa9925d685 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみだいふく(プロフ) - 今更見つけました()好きです、更新待ってます！ (2021年4月3日 1時) (レス) id: c9684e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
Rukia (ゆっくりゆる) - 突然の東方要素(好き) あっ、(この作品)すきです。 (2021年2月1日 21時) (レス) id: 2e12baa0e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2019年9月9日 12時
