揺れる一輪の花 (ページ39)

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#37 ページ39

意識を保ってるのもやっとの様子なのに止まることのない打球についに意識を手放し後ろに倒れてしまった

「吉田くん⋯！」

「Aちゃんどう？オレのバッティング」

「⋯⋯最ッ低」

笑顔で振り向く小次楼に歯を食いしばる
コイツら全員伸してやりたい
手出したところで此処にいるのが全員って訳じゃなかったら加勢に来た時一人で相手するのは万次郎並みの強さがないと却ってやられるのが目に浮かんでしまう

「やめろっ！！テメェ何やってんだ！！」

「え？殺人野球」

「やめろつってんだ！！吉田を離せ！！死んじまう早く病院に！」

「じゃあ選手交代ね⋯⋯佐藤龍星」

「！！？」

小次楼によって名前を呼ばれ千冬は後ろを振り向くと龍星くんの存在に気付きその姿に目を見開いてた

「龍星っ！！何で！！」

「千冬⋯この小次楼、四谷傀團の副総長みたいだよ」

千冬の方は見ずに目の前の副隊長に目を向け四谷傀團の副隊長と教えれば驚きつつも眉根を寄せていた

「！？龍星は元々四谷傀團にいたんだろ⋯？仲間だったんじゃねぇのかよ！？なんでここまで出来んだ⋯！！！」

「⋯⋯⋯違ぇよ⋯⋯」

「龍星くん⋯！」

項垂れていた龍星くんは顔を上げていたけど唇は切れて血が垂れて右目も腫れて痛々しい姿だった

「それ以上の関係⋯⋯⋯親友さ」

「⋯龍星！！」

「オレと小次楼はガキの頃から家が隣同士でな、物心ついた頃には一緒にいたんだ⋯幼馴染ってやつ
お互い親があまり家にいない環境だったからいつも一緒、家族よりも長い時間を共有した⋯四谷で悪目立ちしてたオレらはよく周りの不良に囲まれてたよ」

「そうそう、どいつもこいつも返り討ちにしてやってたよね龍星とオレ、二人揃えば敵なし⋯そんなオレ達の周りにはいつしか四谷中のワルが集まっていた⋯それが、四谷傀團」

自身の毛先を指先でくるくるしながら可笑しそうに言う小次楼はバットを持ったまま龍星くんに近付いていった

「言わばこのチームはオレ達の絆から生まれたようなものだってのにな東卍なんかに行っちゃうんだもんな⋯裏切り、ココロが千切れそうだよマジで⋯はは、ホント龍星って繊細で脆くてオレが横にいないとすぐ間違っちゃう奴だよな⋯オマエを導けなかったオレが悪いんだ⋯ごめんな龍星」

持っていたバットを上に振り翳すと龍星くんの右肩を叩き始めた

「っ！」

「オレが親友(ダチ)としてもう迷わせねぇからさ」