いつかのあの日にVI (ページ18)

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#259 ページ18

「っ！」

飛んできた拳にギリギリ避けるも左頬を掠める
まともに食らってたら一発で意識飛んでた
それぐらい重過ぎる
でも少しだけ、昔みたいで楽しいと思えてしまうのは異常かな

「私負けてばっかだったけどよく組手してたよね
だからかな⋯万次郎の動きも流れも思い出してきた」

次コレが来ると思えば予想通りの流れだ

「伊達にアンタの幼馴染やってないんだから！！」

万次郎の左足を両手で受け流し勢いのまま右足を軸に左足でお腹を蹴り飛ばす
重さは無いから大した事ないだろうけど確実に入った⋯！！

「ゴホッ」

鳩尾辺りに入ったらしく咳をしながら立ち上がる万次郎を私は静かに見つめた

「Aちゃん凄い！！」

「いけー！！」

「やっちまえ！！」

東卍の皆が立ち上がり各々の声援を受ける

私に向かって走って来る目を逸らさずしっかりと見つめ
右足が上がれば万次郎の得意の蹴り技がくる
咄嗟に体を後ろに傾ければヒュンッと空を切る音だけ
足を下ろすその瞬間に同じくして右足を上げて同じく蹴り上げれば万次郎の左頬に当たる

「チッ⋯」

よろけつつも体制を立て直すと再び蹴り技を出して来る

「A！オマエは邪魔すんな！！」

「！」

気絶してた春千夜の声に気を取られたその隙に万次郎の蹴りが私の左腕に当たり横に吹っ飛ばされる

「Aちゃん！！！」

タケミっちがこっちに来て肩を貸して立ち上がらせてくれる
蹴られた箇所が痛いけど⋯痛みよりもイラつきが勝った。

「⋯⋯邪魔って何よ？春千夜も勝手に道逸れてさ、どいつもこいつも勝手に私の元から離れて⋯アンタらの幼馴染で居られるの私ぐらいだっての⋯何が黒い衝動よ⋯そんなもんクソ喰らえだ！！！」

圭介は自分を犠牲にして居なくなって
目の前に居る春千夜も万次郎も勝手に居なくなって
長年一緒に居たのに突然隣から居なくなって心にポッカリ穴空いた私に何とも思わないのか

「Aちゃん⋯信じられないかもしれないけどオレ、数秒先の未来視(ビジョン)が視える様になったんです」

「！」

小声で言うタケミっちの事実に驚くも何故かすんなり受け入れられる
未来視⋯仕組みは分からないけどだから春千夜の企みを阻止出来たのか

「皆を助けてくれてありがとう」

「⋯っ、でも⋯カクちゃんが⋯！」

「⋯そっか⋯なら尚更鶴蝶の分も私達で頑張らないとね」

言葉を詰まらせるって事は鶴蝶は死んでしまった
イザナの元に行けてると良いな⋯また三人で遊びたいね、ありがとう鶴蝶⋯。