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「それでさぁ???」
『さや、ごめんちょっとお手洗い行ってくるぅ〜』
今日は、久しぶりにさやと飲みに来てる。
仕事場が同じだから、毎日一緒だけど、
こうやって飲みに来て、たくさん話すのは久しぶりだから、
興奮のせいかいつもよりお酒が回るのが早い。
『ふぅ〜…』
トイレを済ませて、廊下に出る。
でも、どっちから来たかさえもなんか、
もう分からない。
『あれぇ、どっちだっけぇ〜??』
すごいふわふわする足取りをなんとか、
自制をきかせて、歩いていると、
ドンッ
『きゃぁっ』
「あっ、すんません!」
男の人にぶつかられた。
暗い廊下だったから、人がいるのに気づかなかった。
「大丈夫すか? 立てます?」
小柄で、でもしっかりとした体つきの男性は、
少し掠れた声で、
サングラスを外しながら、倒れた私に、しゃがんで声を掛けてきた。
…え?
うそ、本物?
まさかね??、こんなとこにいるはずないよね??、
『も、もしかして…き「しぃ〜、その先ダメ。」』
目の前でしゃがむ彼の正体を確認しようとしたら、
唇に人差し指を押し当てられて、これから話す言葉を阻止された。
酔いのせいか、不覚にもドキッとしてしまった。
暗い中で彼の耳に光る色気に帯びたピアスが
眩しく感じられる。
やっぱりそうだったんだ…
でもなんで?、
こんなとこに?、
「よく気づいたね、こんな暗いのに。
もしかして、ファンの子?」
『いや、全然全然!!!』
少し苦笑しながら、疑いの目を向けられたから、
咄嗟に否定。
「んはは、そんな否定してくんなくてもいいのに(笑)」
『あ、ごめんなさい、つい…』
「いいよいいよ、それより立てる?」
私の肩を支えながら、立たせようとしてくれるから、
それに少し頼って、
まだふわふわしてる体をなんとか立たせた。
『きゃっ』
「うおっ」
でも、覚束無い足は言うことを聞いてくれず、
バランスを崩した矢先に、
彼の腕の中にすっぽり収まってしまった。
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作者名:あ ん こ | 作成日時:2018年12月31日 1時