ねぇ、神木先生？

ジ ュ ウ ニ ページ16

わたしの腕を掴みっぱなしだった先生の手が、

手を握った。

「…え、先生？」

「やだ？」

黙って首を横にふる。

…嫌なわけ、ないじゃん。


でも先生。

なんでそんな、思わせぶりなことするの？

抑えきれないこの想いが、また切なくなる。

叶うわけ、ないのに。

なんで？


‥期待しちゃうじゃん。

「ちょっとだけ」

先生はそう言って、ふふっと笑う。

隣から見るその横顔は、何故か切なそうに見えた。

ねえ、どうしてそんな顔するの？


「…先生？」

「なんでもなーい」

「なんだそれ〜」

わたしたち、周りからどう見えてるのかな。

神木先生とわたしじゃ、不釣り合いすぎる。


カップルになんて、見えるわけ…

「ねえねえ、Aちゃん」

名前を呼ばれて、先生の方を向く。

「俺たち、カップルに見えてるかもね？」


挑発するみたいなその先生の目。

なにそれ、どういうこと？


…だったら、先生はどう思うの？

「…そう、ですね」

気持ちを隠してそう言った。

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