【HQ】辞めろって言われたんで辞めました【宮侑】

32 ー角名sideー ページ34

10分休憩や、水分補給ちゃんとせぇよ。






北さんの一言に俺らはそれぞれ散らばって休憩する。

俺は暑いの嫌いだから外に出て風に当たった。







………めっちゃ風が温いのが腹立つけど、まぁ我慢しよ。









ふぅ、と言いながら座ると隣に治が座ってきた。








「あっついなぁ」




「暑いね」









時が経つのはほんとに早いもので、Aが退部してからもう１ヶ月半が経とうとしてる。








「来週から夏休みやな」




「そうだね」






あー、嫌やぁと項垂れる治。

治曰く、夏休みはスイカとかアイスとか一杯食べれるのは嬉しいけど課題が多すぎて嫌だ、とのこと。







……ほんと治の頭の中って食べ物ばっかだよね。









「ところで、侑は？」


あいつ休憩してるの？と言い辺りを見回すも侑の姿は一切無い。









「体育館で練習しとるで」

最近のあいつスランプ気味やねん。と話す治。

その言葉に俺も、へぇと相づちを打った。









・









・









「なんっかい言ったらわかんねん！

このドリンクの味薄過ぎんねん！

自分ちゃんと作っとるん？！」







侑のキレ気味の声に、すみません、と縮こまるマネ。









「…ツムのやつやめぇ言うとるのに」

マネに対する罵声にため息をつく治。





「…………」

俺はじっと新マネを見つめる。







Aが退部してすぐにマネとして入部してきた同級生の子。

双子目当て、特に侑目当て、ということはすぐに分かった。




だけど最近は侑に対してビクビクしてばっか。


多分、侑が自分が思ってたような人じゃ無かったし怖くなったんだと思う。









「……バカだよね」







俺の一言に何が？と返す治に俺は何でもないよといって笑う。





これはあくまで勘だし、

あんま良くないことだと思うけど、

あの子はもうすぐマネを辞めると思う。







証拠はない。

だけど、確信はある。









「喧しいわ、今近寄んな！」




「俺のサーブの邪魔すんなや、この喧し豚」





「今バレーしてんねん、お喋りは後にしてくれへん？」







「ドリンク薄い！」







「不味い」








「スコアぐらいちゃんと録っとけや」








「自分何も出来へんな」






「俺ら目当てにマネ入ったんなら辞めろや、迷惑や」








侑の最後の一言に、荷物をもって泣きながら俺らの横を通って走り去っていく新マネ。







………あぁ、また一人辞めてったな。

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