【金カム】超絶社畜がトリップしてイキイキしだす夢小説 (ページ14)

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視線を硬貨に落とす

『！？』

これまた驚いた

『銭！？』

１円ではない
それよりも少し小さいがしっかり模様も彫られている

『すごい！はじめて見た』

「初めて？」

『はい！触ってもいいですか！』

「あ…あぁ。いいとも」

困惑する男をよそに１つ手に取り触れた
１００円と１０円が混ざったようなデザイン
再現度の高さに驚かされる

一部のテーマパークは現金をテーマパーク用の通貨に換える場所があるという
そのシステムを取り入れているのか

『あの、もしよかったら新聞じゃなくてこの十銭硬貨ください！これなら持ち運んでも便利だし濡れても平気ですし』

興奮気味に話すと男は笑う

「君がいいのであれば」

『ありがとうございます！』

「……」

『大切にします』

「君はとても優しい子だね」

『え、』

呟かれた言葉に心がざわつく

いつも仕事で怒られ
明日さえイヤな日常を過ごし
それが身の丈にあっていると思っていた

私に暖かい言葉などかけられる価値もないのだと

「さぁ、書いて出してしまおう。返事が来るのは１０日くらいかかるからね」

『そんな…！私すぐに東京に帰らなくちゃいけないんです』

そんなに休んでいたら自分の価値がさらに下がってしまう

だが無一文な自分は帰る術を持たない
運良くアイヌの男に金を借りて帰れても返す時間が取れない

『仕事があるんです』

「その仕事は命よりも大切かい？」

『……いのち？』

天秤にかけるにはあまりに重さが違う気がする

『そんなわけ無いじゃないですか』