眠り姫、誘拐。【ONEPIECE】 (ページ12)

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．ページ12

そして、捲った最後のページを見て、息を飲んだ。

美術なんて正直どうでもいい派だ。何が良いのかとか全然わからねぇ。
絵を見て感動する、なんてことは生まれてこの方1度もなかった。だが、それを見てたしかに、わくわくするような、そんな気持ちになったのだ。

そこに描かれていたのは、やはりメリー号だった。

大海原をかけるメリー号の絵。

さっきまでのメリー号のデッサンや他の船の絵と同じくリアルに描かれているそれはやはり上手なのだが、
でも、その絵は何かが違うような気がした。まるで本当に俺達とこれまで一緒に旅をしてきたメリー号そのものというか、むしろなんだか、メリー号が語りかけて来そうな。そんな絵。

そこには俺たちクルーの姿は描かれていない。

メリー号と一緒に描かれている空は、青ではなく不思議に混ぜられた色で、昼間とも夕日とも星空とも何とも言えない空がひろがっていた。それがなんだか、何故かは分からないけど、麦わらの一味(おれたち)を表現しているような気がして。

この絵は、メリー号と俺たちを描いた絵なんだな、と、思った。根拠なんてないが。

こんな風に絵から何かのメッセージを感じたりだとか、絵に感情を動かされたのは初めてだった。
柄じゃない自身もある。でも、

……これは、ルフィや他の奴らにも見せてやりてぇな、とぼんやり考えてしまうほど、

俺はその絵に惹き付けられていた。