【ブルーロック】君に夢を託したい。【千切豹馬】

最初の脱落者 ページ4

「こんなもんサッカーじゃない！！サッカーとなんの関係があるんだよ！！！！！！」

男の子の怒気を含んだ叫び声。

……えーーっと、どういう状況なんだろう。

尻もちを着いたまま体制を捻って背後を確認する、とそこに居たのは12人の男の子達。

その中で白髪の男の子がモニターに向かって大きな声を上げている。
あ、あのモニターに写ってるの絵心じゃん。あいつ、許さん。

本当は今すぐ私もモニターに映る絵心さんに私がこんなふうに建物内を歩き回る羽目になったことを問いただしてやりたかったけれど、

ただならない部屋の雰囲気を感じ取って、目立たないように気配を消しドア横の壁に立つ。



「……そんな戦場で生き残れない人間にストライカーの才能は無い」

「だっ、！？だからどうしたっ！！！」



2人の会話……というより絵心が一方的に語っている話に私も耳を傾ける。


(成程、ね……)


『サッカーに革新をもたらすのはエゴイストだ。青い監獄では299人の人生が滅茶苦茶になるだろう。そしてその中から、たった1人のエゴイストが生まれる。

ーーーー見ればわかる。A。いいから見に来い。』


絵心が先日言った言葉をまた思い出した。
これは、絵心が“ストライカー”を作る為に作ったシステム。

そして今、最初の脱落者が出た。って所かな。


「お前の負けだ。吉良涼介」


絵心の声が室内に響き渡って、言葉にもならない男の子の叫びがきこえる。
夢を絶たれるということ、その残酷さ。
大いなる目標をもって青い監獄(ココ)にやってきた少年達が最初に目にするのが、これだなんて。

(あまりにも、残酷だ。)

そして、先程まで叫んでいた少年は扉から静かに出て言った。恐ろしい程静かに。


吉良と呼ばれた少年が部屋を出る姿を見送った彼らは、ようやく扉の横に立つ私の存在に気付いたのかざわつきだす。

そこで初めて私は声を発した。


「絵心さん、貴方のこの“案内する気のない”案内文のせいで酷い目に逢いましたよ。
まったく……案内人の1人くらい立てるのが、招いた客人に対する礼儀なのでは？？」

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