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 午後6時前の市街地、月下(つきした)は、まだ明るく、熱が篭っている。

 「あっちぃー」

 それが太陽光なのか、はたまた高層ビルの反射光なのかすら分かない程の眩さに目を眩ませた。

 高層ビルだらけの通りを抜け、40分電車に揺られれば、田んぼと畑だらけの彼岸町につく。そう考えると信じられないくらい近く感じるものだ。

 人に溢れたこの街で、今日も多くの人が入れ替わる。

 都会への憧れが強かった俺が、この街の高校に進学し、はや1年。
 小さな町で小、中を過ごした俺にとって、この町は未知の世界だった。

 大きなビル。見たことも無い店。交差点を行き交う人の群れ。滅多に見ることの無い景色に興奮していたのも束の間。いつの間にかこの景色が、俺の日常の一部となり、当たり前となっていた。

 通り慣れた道でも、新たな発見だってある。例えば、あの曲がり角にパン屋ができたとか。若者に人気の服屋の看板がポップな感じに新しくなったとか。

 そんな些細なことでも、俺は見つけるのが楽しくて楽しくて仕方なかった。
 彼岸町にはないものばかりで、夢中になり、俺は、都会の魅力にすっかり取り憑かれていた。

 初めは、通り抜けることさえ困難で、通る事にブザーを鳴らした改札口。
 何度もそれ相手に喧嘩腰になっていた。今では相手にする程でも無い。
 混む改札口だって余裕で抜けられる。田舎者の俺はもう居ないも同然だった。

 改札口を抜け、少し歩くとホームに繋がるエスカレーターがある。
 それに足をかければまず、ホームのコンクリートが姿を現す。そこからだんだんと視界が広がる。 見渡す限り人、人、人。老若男女問わず人だらけ。
 もはや人しか見えないのだ。
 視界だけではない。耳を突くブレーキの音やアナウンスの機械じみた声。誰のものなの聞き分けのつかない足音。
 気にならない程小さなそれらの音も、重なれば重なるほど大きくなる。いつまで経ってもこの騒がしさには慣れない。
 きっと、静かすぎる彼岸町に慣れたせいだ。

 電光掲示板によると、三番ホームに、彼岸町行きの電車が到着するのは六時四分らしい。
 オレンジ色の文字で確かにそう表示されている。

 電車の到着予定時刻は、まだ先だというのに、空気を割く太い汽笛の音が駅に響いた。
 目の前を横切る長い快速列車。 冷たい風が俺の短い髪を揺らすと共に痛々しいしいブレーキ音が響う。目の前の扉が大きく息を吐くようにゆっくりと開く。

 

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設定キーワード:恋愛 , オリジナル ,   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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助@でんこみたに(プロフ) - 赤菊 藍さん» ありがとうございます!頑張ります! (11月16日 16時) (レス) id: e967de5434 (このIDを非表示/違反報告)
赤菊 藍(プロフ) - このような作品はとても私好みでワクワクします!これからも頑張って下さいね。 (11月15日 15時) (レス) id: 729a63d6a3 (このIDを非表示/違反報告)
レンスイ(プロフ) - こちらの作品感想書かせていただきました! ご把握よろしくお願いします! (11月8日 11時) (レス) id: a25c9bfc08 (このIDを非表示/違反報告)
レンスイ(プロフ) - 情景描写が多く、厚みのある印象を受けました!駅の描写も細かく、語彙力があって圧倒されます! (11月8日 10時) (レス) id: a25c9bfc08 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Noraさん» ありがとうございます。中学のクラスメイトがこんなでした。がんばります。 (9月20日 20時) (レス) id: 82ea27b76b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年9月15日 21時

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