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 「それで、俺との約束をすっぽかしそうになったと。友情よりその場の女ですか」

 ファミレスのテーブルを挟み、向き合う坊主頭と俺。人通りの多い交差点を窓越しに眺め、溜息を着く。交差点では慌ただしく人が入れ替わっている。

 「あのなぁ、俺は……」
 「あんたはいつもそうよ! そうやっていつも言い訳ばっかしてっ……」

 言葉を遮り昼ドラお決まりのセリフを叫ぶ。一気に冷める空気。周りの視線が痛いほど刺さる。
 恥を知らないいがぐり頭。名女優と懸け離れた姿に吹き出すのを堪えるので精一杯だった。


 「いやぁ。ご、ごめん……。ほんとにごめん。俺は恋愛なんかしてな……」

 グラスを持つ手が震える。ストロー相手に悪戦苦闘。ストローが口に入らないのだ。しばらくの接戦の末、俺は、ストローにみごと勝利。爽やかなレモンの風味が口いっぱいに広がった。俺は、レモンティーが好きだ。そして今、この瞬間。こいつのために俺は、戦ったのだ。

 「とか言っちゃってー!普通、そんな展開ないって。どこの少女漫画だよ」

 俺の背を思い切り叩く坊主頭。先程、喉を通り過ぎていったレモン味がついそこまで蘇って来た。

 「ぐっほっ……いってぇなぁ! どこのオバハンだよお前! 展開も何もなぁ……」

 大きな音とともに身体中を走る電撃のような痛み。背中が熱い。危うくレモンティーまで、台無しにするところだった。

 「だって、そんな見とれるってそうとう美人だろ? 相手もお前のこと見てたんだし。お熱いこった。ヤダヤダ」

 酒をあおるようにコーラを一気飲みする坊主。黒い海に浮かぶ水晶のような氷の塊。少し揺れるととグラスの内側に当たって、からりと愉快な音を鳴らしている。

 「別に見とれてたわけじゃねぇんだって。なんだったんだろな」

 もう一度レモンティーを口に含めば、今度は酸味が口いっぱいに広がった。

「まぁ、やっと葵にも女が出来たってことで」

 氷をガリガリと頬張ながら品のない笑みを浮かべる坊主。実に腹立たしい顔だ。

 「夏芽よ。君はどうしてそんなに人を腹立たせる才能があるんだ」
 「ついに葵もリア充かぁ」

 色黒坊主、西陰夏芽(にしかげなつめ)が言葉を被せた。少しは話を聞いて欲しいものだ。きっと、そんなことを彼に言っても聞く耳すら持たないのだろう。

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設定キーワード:恋愛 , オリジナル ,   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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助@でんこみたに(プロフ) - 赤菊 藍さん» ありがとうございます!頑張ります! (11月16日 16時) (レス) id: e967de5434 (このIDを非表示/違反報告)
赤菊 藍(プロフ) - このような作品はとても私好みでワクワクします!これからも頑張って下さいね。 (11月15日 15時) (レス) id: 729a63d6a3 (このIDを非表示/違反報告)
レンスイ(プロフ) - こちらの作品感想書かせていただきました! ご把握よろしくお願いします! (11月8日 11時) (レス) id: a25c9bfc08 (このIDを非表示/違反報告)
レンスイ(プロフ) - 情景描写が多く、厚みのある印象を受けました!駅の描写も細かく、語彙力があって圧倒されます! (11月8日 10時) (レス) id: a25c9bfc08 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Noraさん» ありがとうございます。中学のクラスメイトがこんなでした。がんばります。 (9月20日 20時) (レス) id: 82ea27b76b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年9月15日 21時

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