prologue ページ1
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『少し、距離を置こうか』
突然、送られてきた彼からのカトクに
目の前が真っ暗になった。
フラフラとした足取りのまま、
辿り着いたのは彼等の宿舎で。
アイドルである彼等を邪魔しちゃいけないという気持ちもあったけど、
どうしても受け入れられなくて、
葛藤と共に宿舎のドアを視線が行ったり来たり。
「...A?」
「、ジミナ.....」
どうしようか迷っていると、ふと顔を覗かせたのはジミナで。
バツが悪そうに私から視線をずらしたジミナは、どうしてここに...と悲しそうに呟いた。
話があって...
どこか濁すように答えた私に、また悲しそうに目を伏せると
今日は遅いし送っていくから…また別の日にしようよ、
そう言って車のキーを取り出した彼は、私を助手席に押し込んだ。
特に何を話すこともなく、車は私の家へと向かう。
距離を置きたいという言葉にどんな意図があるのかなんて、
考えられないし、考えたくもなかった。
静かに運転するジミナを横目に傍に置いてあったタタのクッションを抱きしめる。
交差点に差し掛かってジミナがウィンカーを出すと、その規則的な音が車内に響く。
ジミナ、赤信号をいい事にジミナに話しかけようと声をかけると
遠くからクラクションの音がぼんやりと聞こえた。
一瞬だけそっちに視線を向けるが何事も無く、もう一度声を出そうとした時だった。
「A...!!!」
「ちょ、ジミっ...!!」
ジミナが私の名前を呼んだのと同時に、
今度はけたたましくクラクションが鳴り響いた。
タタクッションごとジミナに抱きしめられて、
彼の肩越しに、
眩しい光が飛び込んできた。
僅かに暖かなジミナの体温と、溺れそうなほどの赤いなにかに
右手に走る激痛に
怖くなって、目を閉じた。
そこからの記憶は無い。
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ヒスイ(プロフ) - イヴさん» コメントありがとうございます!最後まで宜しくお願いします! (2018年8月4日 8時) (レス) id: c06cea6d4c (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - いいはなしやー、、、 更新ファイトでし! (2018年8月3日 19時) (レス) id: c632785a56 (このIDを非表示/違反報告)
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