4話 ページ7
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──────みーんな、大好きだよ。愛してる
『……ん、』
最近よく見る夢で毎回必ず言ってる台詞。
それは何故か毎回僕視点で、『愛してる』って伝える人は毎回違う人。
伝える人の顔はよく覚えてないけど、確か最初は綺麗な濡羽色の髪の毛の人。
そして次は綺麗なはちみつ色の瞳をした1つだったけ?
その次は……
「────A!」
『んえ……、──────っで!』
「あぁー……一足遅かった……」
そうだ、今は体育の授業でサッカーをしてるのだった
つい夢の人達を思い出すのに必死で集中しておらず、僕はサッカーボールが目の前に迫っているのにも気付かずそのまま顔面に衝突して倒れてしまった。
「おいおい、大丈夫かよ……。珍しいな、Aがサッカーに夢中になってねぇ」
『ちょい考え事してた』
僕は友人にそう返しながら立ち上がろうとする。
だが、立ち上がろうと足首に力を入れた瞬間足首に激痛が走った。
『だぁ!いってぇ……』
僕がそう言いながら足首を抑えていると、それに気付いた担任の先生が駆け寄ってきた。
そしてそのまま保健室まで連れられたが、保険医の先生の判断で病院へ行くことになった。
「レントゲンで見た限り骨折は見受けられませんでした。外くるぶしに圧痛、そして軽い腫れがあるので足関節捻挫でしょう。」
『足関節捻挫……』
「軽傷なので2週間程で治ると思われます。それまでテーピングやサポーターを付け痛みが和らぐのを待ちましょう。出来るだけ患部を温めないで下さいね。」
先生は冷静に僕の診断と治療法の説明などをした。
そしてその後は精算などを待つ為に、僕は病院の椅子に座って待っていた。先生は1回学校に電話するために席を外していた。
その時、丁度僕の隣に誰かが座ってきた。そして僕に話しかけてきた。
「なぁ、怪我してんの?足」
『…なんだっけ、足関節捻挫だって。軽傷』
「ふーん」
その人は僕の足をじっと見つめてきた。なんだか気まづい僕はその人に質問した。
『お兄さんは?』
「俺?通院。」
『……どっか痛いの?』
僕がそう聞くと、その人は「ふはっ」て笑いながら右膝を摩った。
「昔な。”右膝前十字靭帯断裂”っつー怪我したんだよ。手術で一応治ったのは治ったけど、もし再発したら二度と走れねぇから定期的に通院してんの。」
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作者名:漢方薬の達人 | 作成日時:2023年6月9日 9時