2話 ページ5
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潔さんと出会ってから一週間が経った。
ボクはあれ以来潔さんと出会った公園には行ってない。特に理由はないが、強いて言うなら本能的に…だろうか。
でもボクはまだサッカーを続けたいわけで。
そんなボクは、別の公園でサッカーをすることに決めた。
そんな矢先の出来事だった
『ここ、どこ?』
いつもと違う公園に来た為、ボクは帰り方が分からなくなってしまった。
道を聞こうと思って人を探すも、時間帯は帰宅ラッシュだが今日は日曜日のため人通りが少なく誰もいなかった。
ボクが途方にくれてると、遠くの方に人影が見えた。
ボクはそれに気づくと、急いでサッカーボールを持ってその人の元へと走り出し声をかけた。
『あのっ!!』
ボクがその人の後ろから話しかけると、その人は「んにゃ?」と呟きながらこちらに振り向いてきた。
「なになに〜、どしたの?」
『えっと、あの……』
走ったことで息が切れていたボクは、この人が待ってくれてるんだからと急いで息を整えようとする。水でもあったら直ぐに整っただろうが、生憎ボクは飲み物さえ持ち合わせていなかった。
「ありゃ、大丈夫?これあげるから飲みなよ!」
その人はサングラス越しでも分かるぐらいの明るい声と笑みでボクに水を差し出してきた。
流石のボクも警戒心はあるわけで、なんとなく飲むのを躊躇っているとその人は「大丈夫だよ、それまだ口つけてないやつだから」と言ってきた。
その人の人懐っこい笑みを見てなんとなく安心したボクは、キャップを開けてボトルに口をつけようとする。
『──────わっ!?』
丁度その瞬間に鳥が何故かボクの目の前を通り過ぎていき、それに驚いたボクはボトルから手を離してしまった。
「わ!びっくりした〜」
『あっ…ごめんなさい…水が』
「大丈夫〜!それより怪我してない?水ならそこの自販機で奢ったげる!」
そう言われたが、もう息切れもなくなってきた為ボクはやんわりと断りを入れた。
そしてボクはその人……基”めぐるんさん”に迷子になった旨を伝え、無事に交番まで辿り着くことが出来た。
めぐるんさんから貰った水から一瞬、苦味を含んだような匂いのような、薬のような匂いがしたのは気のせいだろうか
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作者名:漢方薬の達人 | 作成日時:2023年6月9日 9時