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___ピッ
短い笛の音。
騒がしい体育館が静かに感じてしまうほど、俺たちは放心状態だった。
あまりにも呆気なく、
あまりにも一瞬の出来事だった。
「うわ!井闥山ここで負けるとはなぁ〜!」
「まじか犬伏東!!ノッてるな!」
体育館にいる選手たちからも、観客席の見知らぬ人からも、そんな言葉飛び交った。
飯綱キャプテンが足を負傷し、正セッターを失った俺らは犬伏東に逆転された。
ベスト何かも分からない。
いや、知りたくないの方が合っているかもしれない。
「整列だ。」
先輩に声を掛けられ、最後の挨拶をしたとき、
“負け” が体の奥の方で、悔しさに変わって俺を縛り付ける。
監督には着替えてからミーティングと言われ、更衣室での空気は最悪だった。
3年生は最後の全国大会で、
その最後の最後にこの結果。
その3年生の涙からは、見ていられないほどの悔しさと後悔が感じられた。
古森と「お先失礼します。」と言って先に更衣室を出て、
ミーティングの集合場所になっている階段脇に移動した。
「なぁ聖臣。」
「なに。」
「俺らも来年あんな風に泣くのかな。」
「さぁ?」
「でもきっと、俺らは高校で終わりじゃないし泣かないのかな。」
「来年にならないと分からない。」
「まぁそりゃそーだけどさ。」
「それに、優勝すればいい話だろ。」
「くはっ、やっぱ全国区エースは違うわ〜!」
これから大人になってまできっとバレーを続ける俺らにとって、
高校の春高なんてただの通過点に過ぎない。
だけど、“高校生” という短い青春が全て詰まっているこのバレーボールに、
必ず敗者が生まれるのは残酷だ。
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ミオ(プロフ) - 漆原さん» 通知で飛んできました!笑こちらこそお付き合い頂きありがとうございました!!! (2020年7月16日 0時) (レス) id: 4065260f63 (このIDを非表示/違反報告)
漆原(プロフ) - 完結おめでとうございます!尊い可愛い良かった、ととても素敵な作品に出会えて良かったと思いました。更新お疲れ様でした。ありがとうございました! (2020年7月16日 0時) (レス) id: ed7638bb80 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - ありがとうございます!!頑張ります!! (2020年7月3日 14時) (レス) id: d5bc6df56e (このIDを非表示/違反報告)
漆原(プロフ) - さくさくコンビめっちゃ可愛いしストーリーも面白くて好きです!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年7月3日 14時) (レス) id: ed7638bb80 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - さくみさん» きゃああ嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張ります!! (2020年5月23日 9時) (レス) id: a31c000f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミオ | 作者ホームページ:I don't have.
作成日時:2020年5月18日 13時