第2話 ページ4
『フエゴレオン様は、どうして…』
「私のことはフエゴレオンと呼んでほしい。婚約者なのだからそれ位はいい筈だ」
『…はい。フエゴレオン、さん』
「…及第点、と言ったところだな。私はAと呼ぼう。良いか?」
『ええ、お好きなように…』
不思議だった。
ただただ、不思議だった。
私の髪はオーキッドピンク色で、シルヴァ家とヴァーミリオン家の白と赤が混ざった珍しい色の出方だと言われた。
(…会って見ればどちらかと言うと、赤というよりオレンジのような気がするけど)
私の家はシルヴァ家とヴァーミリオン家から派生した家なのでいわゆる先祖返りではないかと。
私の両親は、最近のヴァージリア家に多い薄い青色の髪の色。
だから、私のピンク色は当代では異色とされていた。
『フエゴレオンさ…んは、気持ち悪くないのですか?』
「…何がだ?」
一瞬様と言いかけて、さんと言い直せばフエゴレオンさんは嬉しそうな顔を見せてくれた。
『私の、この髪の色が』
「髪の色?Aは、変なことを言うのだな」
『変なことって…!』
「私は、その桃色の髪はAの薄く色付いた頬によく似て愛らしいと感じる。自然な事ではないのか?」
『しぜんな……こと』
「あぁ。しかしそれよりもだ、あまり食べてないのではないか?Aの腕は細すぎる。今度から我が家で会う時は是非食べて行ってくれ」
『っ……ありがとう、御座います』
こんなにも呆気なく毒気を抜いてくれた人は初めてだった。
『うっ…』
「…!!何故泣いているのだ!?大丈夫か?何処か痛むか?」
『いえ、いえ。違うのです……私も、良き縁に恵まれたと思ったのです』
「そうか…君もそう思ってくれるのなら、こちらとしても喜ばしい」
『はい……』
そして、この髪の色を認めてもらった私はヴァージリア家の娘としてではなく、ヴァーミリオン家のフエゴレオンさんの嫁として生きていく事を決意した。
ラッキーカラー
あずきいろ
89人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
妖狐の巴衛(プロフ) - マルメロさん» わかりました。ありがとうございます! (2018年3月25日 15時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
マルメロ(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» お早い返事、ありがとうございます。そちら“にわか”と読みます。俄(にわか)…物事の急に起こるさま。という意味です。ここでは突然で信じられない。といった意味で使っております。 (2018年3月25日 13時) (レス) id: dcb3f35ff0 (このIDを非表示/違反報告)
マルメロ(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» (続けます)がありまして、披露宴では夢主とフエゴレオンさんは隣に座っている+新婦を嫌らしい目で見られて不快な気持ちになる+今の声はフエゴレオンさんだ。これらからフエゴレオンさんと表したものなのですが、分かりづらいものになっていたようならば訂正致します。 (2018年3月25日 13時) (レス) id: dcb3f35ff0 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - そうなんですね。ところで、「俄」なんとよむんですか? (2018年3月25日 13時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
マルメロ(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» コメントありがとうございます。混乱させてしまったようで申し訳ありません。そちらのセリフはフエゴレオンさんのセリフとなっております。その直後に“隣で呟くように、小さく、あくまで陛下には聞こえないように囁かれたが、今の声はフエゴレオンさんだ。”という言葉 (2018年3月25日 13時) (レス) id: dcb3f35ff0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ