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いつもよりも1時間遅い起床時間は、
かなり急がないと遅刻スレスレだ。
なんで！？いつもなら余裕で起きれるのに…
慌てて着替えて階段を駆け下りる。
『おかーさん！！大吾は！？』
母「もうとっくに行ってるわ」
『嘘ぉ…車乗せてもらおうと思ったのに…』
母「朝ごはんはー？」
『いらない！いってきます！！』
頭ボサボサだし、リップすら塗れてないし、
コンディションとしては最悪。
しかし正門先生に遅刻するようなやつだと
思われたくないがためにとにかく急ぐ。
全ては正門先生のため。
こんな時まで先生を思っている
自分が健気で泣けてくる。
そうこうしながら必死に走るうちに
変な走り方の人を前に見つけた。
なんか、テケテケ、みたいな感じの走り方。
こう見えても私は元陸上部。
あの人フォームひどいな〜とか思いつつ
あっという間に追い抜こうとして、
『うぇっ、！？』
まあまあキモい声と共に足を止めてしまった。
『なんでこんなとこに、あ……』
風「……」
そうだ、この辺に引っ越してきたんだった。
寝坊に動揺しすぎてすっかり忘れていた。
大西くんはジロジロ見る私に苛立つように
また舌打ちをしつつそっぽを向く。
気持ちいいほどの拒絶っぷりに、
やっぱりこの間のあれは全て"私のやばい妄想説"、
がどんどん濃厚になっていく。
こんだけツンケンした人が
あんなことをするわけがない。
やっぱり私の脳味噌が勝手にありもしない
フィクションを生み出したんだ。
それはそれでだいぶやばい脳味噌だが、
現実じゃないならもうなんでもいいわ…。
勝手に納得したところで
絶賛遅刻中なことを思い出した。
『やばい、走って！！』
風「え。」
『もっと腕振って！ストライド大きく！！』
ヒョロヒョロな大西くんの腕を引いて
なんとか早く進むように指示を出しながら走る。
自分だけ先を急ぐこともできるけど、
ここで出会ったのも何かの縁、
できれば大西くんの遅刻も救ってあげたい。
そんな思いでなんとか閉まる寸前の校門に滑り込み、
教室に駆け込んだところで始業のチャイムが鳴った。
よりによって1時間目は現代文で
大吾を筆頭に教室中の視線がこっちを向く。
『はぁ、はぁ…セーフ！？』
大「アウト。」
『うそぉ！？』
大「うそ。ほら、早く席つき？」
『なんだ…よかった〜…』
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作者名：ふぉんと
| 作成日時：2022年12月27日 22時
