彼女は大王様に溺愛されてる『3』 (ページ10)

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【76】・幻想的な呉服屋。ページ10

『ナツメside』
私達は朝ご飯を食べ終え、デザートも完食した。
今は、旅館内にある呉服屋に向かっている。

アキノリ「今日と明日で終わりとか早過ぎるな〜」
トウマ「そうだね、あっという間だったよ」

確かに、今日と明日だけって思うと時間が過ぎるのは早いと感じた。

ナツメ「Aさんに尽くされてばかりだったよね」
アキノリ「特別にデザートも作ってもらったしな」
トウマ「本当に何でも出来る人なんだね」

何か礼がしたいと思っても、Aさんが喜んでくれるような事が出来るのかと悩んでしまう。

ナツメ「(仕事で忙しいだろうなぁ....)」

なんて思ってると、呉服屋に着いて扉の前には笑顔で待っているAさんの姿があった。

ナツメ「Aさん！」
A「走らなくても大丈夫ですよ、危ないですし」

これから着付けしてもらうと考えるだけで、私は凄い嬉しくなった。

エンマ「じゃ、ナツメを頼む」
A「はい。見違える程、可愛くしてあげますよ」

そう言ったAさんは私の手を引くと、呉服屋の中へ入れてくれた。
琴の音色が鳴り渡って、何枚もの綺麗な着物や振袖が沢山ある。
幻想的な造りに唖然としていた。

ナツメ「凄い....」

圧倒された私は、その一言に尽きる。

A「先ず初めに、着物を選ぶ事からですね」

“好きな色の着物を選んで良いですよ”と言って、私を手招きした。

ナツメ「色んな種類がありますね....」
A「お客様の要望を叶える為、沢山の着物や振袖を仕入れてるんですよ」

こんなに沢山あると、選ぶのに迷うなぁ....。
暫く悩んだ末に、薔薇と姫小百合の花が描かれている淡いピンク色の着物を選ぶ。

A「良いのを選びますね。それでは、着替える所へ行きましょうか」

呉服屋の中にある更衣室へと向かって、選んだ着物に着替える。