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五十六話 女の子は怖いよ編2 ページ9

寂雷「道はこっちで、あってるかい?」


「だ、大丈夫です…っ。」


先生の車に乗せてもらい、私は横から大学までの道のりを教えていた。


「すいません…先生。大学まで送っていただいて。」


寂雷「気にすることはないよ。君は怪我人だからね。」


先生は運転してるので顔は前を向いているが、チラッと横目を向けて笑ってくれた。

そして、話すことも特に思いつかないので
車内に沈黙が流れてしまう。

そこでふと、意味もなく私は自分の傷をみた。


強盗に撃たれた肩の方の傷である。


包帯がきっちり巻かれているので外すわけにはいかない。


ので、ぐいっと軽く引っ張って弾丸痕をチラ見。



「……あ。」


私は声を漏らした。
撃たれた肩の傷は、一夜にしてほぼふさがりかけていたのだ。


治癒能力の【異常】な発達。


これを見てすぐに私は包帯の位置を元に戻した。



寂雷「傷が痛むのかい?」


「えっ、あ、いや!全然ですっ!(汗)」


先生が赤信号で止まり、私の方に心配そうな顔を向けていた。


「先生が手当てしてくれたので、あんまり痛くないです。」

寂雷「そうかい、それは良かった。」


傷に関しては先生には内緒にしとこう…。


すると、開いた窓の外の光景が目に入る。


一人の子供が公園で走って、軽くこけている。


(あ、あの子供ちょっと涙目だ…)



ちょっと距離があるので、泣き声まではあんまり聞こえないが、泣いている様子が見てとれた。


子供「わーん!!いたーーーーい!!」

子供「おかぁさーーーーん!!」


母「ああ、もう。そんなに泣かないの!ほら、こっちにおいで。」


母親らしき人物が子供にかけつけてきた。


安心したのか、間もなくして子供が泣き止み、母親が抱き上げる。


その光景を私は眺めた後だった……



子供『おかぁさーーーん』


子供『おかーさーーーーん……』


子供『……か、さ……』


−……さ−



−……と………さ…−






−…と……うさ、…−



あの染み付いた泣き声に混じって、誰かの声が聞こえた気がした。


−……とうさ…ん……−









−たすけて−




「っ!!」


寂雷「…着いたよ?Aさん。」


「…っ、あ、」


先生の声に引き戻された私はハッと周りを見る。


目の前には自分の通ってる大学だ。


「あ、す、すいません、ありがとうございます。」


寂雷「どういたしまして。また何かあったら遠慮しないで言ってね。」


「は、はい……」



あの声は、…一体、誰の声だったんだろ…

私はモヤモヤしながら先生に一礼し、大学へ入っていった…。

五十七話 女の子は怖いよ編3 ※嫉妬ちょいいじめ→←五十五話 女の子は怖いよ編1



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設定タグ:ヒプノシスマイク , 飴村乱数 , 逆ハー   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2018年9月18日 18時

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