五十三話 心に隠した想ヒ ページ6
飴村乱数side
Aちゃんの傷が安定し、スヤスヤ寝息をたてている間、僕とジジイ(寂雷)はAちゃんを起こさないように診察室の入り口で話し込んだ。
寂雷「…で、何があったんだい?何でこうなっているのか、話してもらおうか。」
乱数「……。」
上から見下ろされる威圧感。
それは、寂雷の身長が高いだけではない気がした。
乱数「横浜、遊びに僕が誘って……」
乱数「そしたら、銀行強盗とAちゃんが戦って…、そのあと入間銃兎に捕まったから、mtcの海軍とも喧嘩した…みたい。」
寂雷「…みたい?」
その時、スッと目を寂雷は細めてため息をついた。
乱数「…なに?何か言いたいことあるわけ?」
呆れた様子のジジイに少しだけ苛立ち、
目も合わさず返答しといた。
寂雷「あのね、飴村君……」
乱数「説教なら聞かないよ?面倒だし。」
寂雷「それは、たとえAさんの事でもかい?」
少し食い気味に話す寂雷。
乱数「どういう意味…?」
僕が顔をあげると、ジジイは手を顔に添えながら僕をまっすぐ見た。
寂雷「飴村君、Aさんは他の人と違うところがあるんだ。やたらむやみに連れ出すのはやめてあげなさい。」
乱数「は?女の子なら僕は慣れてるし、何で寂雷にそんな事言われなきゃいけないの?」
ああ、やだやだ。
こいつと話してると、いつもイライラする。
寂雷「よく考えなさい。」
その時、寂雷は語尾を珍しく上げた。
寂雷「Aさんを、只の女性と同等と思うのかい?
彼女は二つの顔を持ち、その危険はどこへでも転がるんだ。」
寂雷「彼女の「裏」は喧嘩をよくする。その喧嘩最中にくしゃみでもしてみなさい。相手が男だったら、彼女は襲われて、やり返されるだろう。
彼女の「表」はとても落ち着いている。いきなりくしゃみでもしてみなさい。関係ない人にまで、すぐに手が出るだろう。」
乱数「それは、解ってるけど…」
寂雷「解っていないよ君は。」
息をしながら、寂雷は怒りを含んで若干早口に喋った。
寂雷「事件に巻き込まれる可能性だってあるんだ。それもよく解らない内は、君は彼女といる資格がないよ。
そんな、軽いものではないんだから。」
乱数「……っ、は、」
心臓が、ぎゅぅっと締まって痛くなる気がした。
何だか寂雷が、Aちゃんの全てを知っている風に話しているのが、気にくわなかった。
乱数「…なにそれ。何で寂雷に、そんな事……」
乱数「……まさかお前、」
乱数「僕のライバルな訳?ジジイのくせに。」
僕は、相当苛立っていた。
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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2018年9月18日 18時