八十三話 親友 ページ38
とある昼下がり、私はお気に入りのベンチで
頭を空っぽにしたくて、ぼーっとスマートフォンを眺める。
−嫌い。−
数日前の飴村さんの言葉ばかりが頭をめぐり、結局頭を空には出来なかった。
スマートフォンには相変わらず連絡はなし。
ぱったりと縁が切れてしまったように。
「……飴、村さん。わ、私、何か…失礼なこと…しちゃったのでしょうか。」
「……解らないんです。
どんなに考えても、私…私は…。」
理子「よっ、A!」
「うわっ、」
私はびくりと体を強張らせた。
理子の顔がドアップで視界に入ってきたからである。
「び、びっくりするよ(汗)」
理子「わりわり」
大して悪びれた様子もなく、理子はどかっと私の横に腰かけた。
理子「で、まーーーた暗い顔してるけど、何?今度は誰に苛められてンの?」
「違うよ(汗)そ、そういうんじゃなくて……」
理子「ふーん。」
私は何故かどきどきしながら、理子の顔から目線をそらした。
飴村さんの話を理子にするわけにもいかないしなぁ。飴村さんと交流を持つのを、反対しているし。
沈黙していると、隣からため息が聞こえた。
理子「飴村乱数。」
その時、私は息が詰まった。
核心をついた言葉に思いっきり彼女に振り向く。
彼女は笑っているでも怒っているでもない表情で、淡々と繋げた。
理子「……どーせそいつと何かあったンでしょ。」
「あ、う、」
なにも返せず、私はただ動揺して目線が散らばってしまう。
どうして理子がそんなことを……?
私はそんなとこまで、顔に出てるの?
理子「出てるっつーの。」
「あっ、え!?」
理子「ちげー、アンタ全部口に出てたの(汗)」
急に恥ずかしくなり「その」「あの」としか出てこない私をみて、理子は吹き出していた。
理子「マジウケンだけど!」
「……ははは(汗)」
理子は声を裏返させ、はぁーと息をついて
私の背中に腕を回す。
理子「よし、じゃぁウチと遊びにいこ。パーっとカラオケにでも行ってさ!」
「うわ、ちょ、り、理子……。」
私がバランスを崩しそうになるのをお構いなしに、理子は私を連れ去る。
理子「いーじゃンいーじゃン!」
理子「ウチがずっとAと居るからさ。」
「う、ん。」
私は思わず頷いてしまった。
彼女の顔は、口角があがって眩しいほどの笑顔。
どこか嬉しそうに笑っている彼女に、私はただ引きずられていった。
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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2018年9月18日 18時