七十四話 女の子は怖いよ編20 ページ27
一二三side
一二三「うえっ、い、いま、ななななんて」
裏「？ここから飛び降りる。」
一二三「ひょぇ……？」
さも当たり前のように返す女の子は、肩に担ぐストーカーの娘を抱え直しながら、脇に抱えられる俺っちを睨んだ。
あり得ない発言プラス女性恐怖症で、俺っちどうにかなりそうです。
一二三「ここここんな高さから……はひぃ」
裏「後ろから火が来てる！時間がねぇ。
おい、口閉じてろ、舌噛むぞ。」
ヒュゥゥゥゥ、とはるか下から鳥肌のたつような風が顔を覆う。
色んな恐怖で意識が半分無くなりそうになる。
裏「いくぜ。」
一二三「ひ」
彼女は惜しげもなく、窓の縁に寄りかかっていた足を空中に投げ出した。
一二三「(あ、まずい。俺っち死ぬ)」
その刹那、ブワァァァァァッと風があたり、
全身が粟立つような浮遊感に襲われる。
まるで、ジェットコースターの下り坂を体験してるみたいだった。
そして、彼女はダンッッッと音をたてて、途中の壁に足をめり込ませた。
裏「よっ」
一二三「うぉえええええぁどっぽぉぉぉぉぉぉぉ」
彼女が壁を蹴り、グンッと思い切り前へ飛び出した。
すると、近くにあった高い木に当たり、またその木を踏みつけて壁まで跳ねる。
で、壁に当たると、また近くの物にうつり……といった感じで、ジグザグしながら彼女は跳び跳ねるのだから、目が回ってくる。
そしてついに、軽やかに跳ねていた足は地面に突き刺さる。
一二三「………うへぇ……げほっ」
裏「こんなんで、へばってんのか。よわっちーな、お前」
地面に雑に投げ出され、ズシャアッと崩れ落ちる俺っち。
ストーカーの娘も、ちゃんとした地面に寝かされるのをみて、あ、助かったんだ、とようやく自覚した。
独歩「ひ、一二三、」
一二三「！」
顔をあげると、親友が目を大きく見開いて震えていた。
一二三「ど、独歩…」
自分もそう返す途端に、彼の顔はぐしゃぐしゃに歪み、ものすごいスピードで駆け寄られ抱き締められた。
独歩「ひ、一二三……良かったぁぁぁぁ……」
一二三「…ど、、ぽ、独歩…！」
抱き締められたと同時に、とんでもないほどの
安心感に包まれ、涙ぐんでしまった。
寂雷「一二三君！Aさん！」
一二三「せ、せんせぇぇ〜……あああああ」
先生は、俺と独歩に覆い被さり「よかった、本当によかった、」と漏らした。
仲間に包まれながら、俺っちは今ちゃんと生きている事をただ、ただカッコ悪いほど泣きながら実感していた。
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作者名：雪ん娘☆ミ | 作成日時：2018年9月18日 18時
