七十話 女の子は怖いよ編16 ページ23
一二三side
−−−−−−痛い、熱い。
バチバチと炎が燃える音がする。
あれ?俺っち、何してたんだっけか。
『一二三君が私の物になってくれないなら、一緒に死んでよ!!』
ああ、そうだ。思い出した。
ホストをやっていた俺っちを指名してくれた子に異常な好意をもたれて、ストーカーされて、
挙げ句に無理心中されたんだった。
そんな事を考えながらまどろむ意識に、遠くで独歩の声が聞こえてきた気がした。
独歩『一二三!!』
早く抜け出したいのに、下半身が重い。
先ほど崩れた木材やこの廃墟に廃棄された家具が倒れてきたからだ。
一二三「俺……しんじゃうのかな、独歩……。」
ゴォォォォと、火が雄叫びをあげるように迫る。
もう無理だ。俺っち焼け死んじゃうんだ。
目の前にいる、ストーカーの女の子も。
一二三「……独歩………ぉ」
そう口にした
次の瞬間だった。
一二三「………。」
一二三「………ん……。」
突如、下半身に重みが消えたのだ。
一二三「あ、れ……体…軽い」
それまで身動きの取れなかった自分の足も、動き始める。
一二三「え、なん……で、」
何とか瞼を開けると、ブワァッと熱い空気と共に、火の欠片たちが舞っている。
そんな中、驚きの光景が目に入った。
一二三「!……」
自分の後ろに、タンスや木材を背にして持ち上げる人間がいたのだ。
炎が激しくて顔は見えないが、金に光る髪の毛だけが揺らめいているのが見える。
裏「チッ、おいおい…いきなり火炙りになるとこだったわ、あのクソ表…。」
一二三「(お、女の子の声……!?)」
一瞬、自分の恐怖症のせいで身震いをした。
そして次に何やら悪態をついているその人は、何やら悪態をつきながら俺っちの前に屈んだ。
裏「おい、てめー。」
一二三「……!」
いきなり女の子の顔面ドアップに、心臓が縮こまる。
一二三「は、はひ……っ」
裏「立てや。意識あんなら、さっさとここから抜けんぞ。」
そういう彼女を良く見ると、肩にあのストーカーの女の子を俵担ぎで抱えていた。
よく女の子が人間を俵担ぎに出来るな、なんて言うのは野暮で、その彼女はもう片方の肩で俺っちを支えて立ってくれる。
正直スーツ燃えてボロボロだから、この状態で女の子に触ること事態キツい。
けど、今は自分の命がこの女の子にかかっている。
一二三「ひぃ……」
裏「早くしろ。」
業火の中、震える手で金髪の女の子に俺っちは寄りかかった。
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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2018年9月18日 18時