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六十九話 女の子は怖いよ編15 ページ22

「っあつい…!!」

勢いで入った廃ビルは、ゴウゴウと火が辺りに立ち込めており、肌が焼けただれてしまいそうだった。

「さ、探さなきゃ…ひ、一二三さん……っ」

なるべく背を低くし、気管に黒い煙が入らないように自分の服の襟をつまんで口をおさえる。


階段はかろうじてまだ歩けるようで、なんとか早足で駆け上ることができた。




何階か上の階にあがると、より一層燃え盛る場所にたどり着いた。

恐らく、炎の発信源だ。

ひ、一二三さんも、きっとこの階に……!!


水で濡らした体も、だんだんと渇きを取り戻しつつあるのに気づき、急がなきゃ、と、燃え盛る廊下を走った。


そして、壊れたドアを通りすぎようとした時…金髪の頭が視界の端にうつったのだ。

「(あ、あれは……っ、!)」

慌てて引き返し、その部屋に入る。

ブワァッッッと火の欠片たちが出迎え、思わず後ずさりをしそうになるのをこらえ、金髪の頭へ近づいた。

「(一二三さん、!!

よ、よ、良かった、生きてる!)」


案の定、一二三さんと女の子が倒れていた。

ぐったりとしていて、気を失っているようにも見える。

急いでまずは一二三さんを起こそうと腕を引っ張るが、びくともしない。

「(!?)」


一二三さんをよく見ると、そう、一二三さんの背中にタンスのような木材たちが倒れているのだ。

「(これのせいで、一二三さんが動かせない……!!!)」


木材をどかそうと、思いっきり踏ん張る。

しかし、踏ん張ろうとすると鼻や口に熱い煙が入り込みむせ込んでしまったのだ。

思わず膝をついて、咳き込む。

やだ、どうしよう、煙吸っちゃった。


苦しい…、パニックになっちゃう……!!


「がはっ、げほッッ」

咳き込みながら、タンスをどかそうとする。

でも重すぎて、とても私では持ち上げられない…。


「けふっ…くっ、あ」


これでもかと言うくらい、ドウッッッと炎が背中に襲って来る中、とうとう座り込んでしまった。

「(駄、目、一二三さんが、目の前に……いるのに……っ、)」

なんとか一二三さんだけでもと覆い被さるが、景色はまどろんでいく。


「(だめ、こんな、とこで………)」


「(お願い、


裏ちゃん……)」



その願いが通じたのか、渇いた自分の髪が爆風の炎に揺られた。


そして、顔にかかって………鼻をくすぐる。




「は、」




「っくしゅ……っ!!!」

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設定タグ:ヒプノシスマイク , 飴村乱数 , 逆ハー   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2018年9月18日 18時

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