六十六話 女の子は怖いよ編 12 ページ19
一方、その頃……
「はぁー、やっと授業終わった〜…」
大学の講義が終わった私は、大きく伸びをして、さっさと荷物をまとめた。
今日は大学終わりに、行かなきゃいけない場所がある。
「寂雷先生の所に、治りかけの肩を診てもらわなきゃ…」
私は肩をさすりながら、大学の門を出た。
そして電車に飛び乗り、新宿へ向かう。
「…そういえば、一二三さん大丈夫かしら……。まだストーカーいるのかな…？」
先日の独歩さんとのやり取りをふと思い出した。
揺られながら、私はぼー、と窓を眺める。
「？なんだろ、あれ」
窓の向こうの景色に、微かに黒い筋みたいなものが空に伸びているのを発見した。
その揺らめきから、煙、と言うことに気がつく。
男子「なあ、今この近くで火事が起きてるらしいぜ」
「…(火事！)」
後ろの座席に座っている男子高校生の会話に耳をたてる。
男子2「まじ？どの辺よ？」
男子「ん〜なんか、友達が野次で写真乗っけてんだよ。多分、廃ビルがあるほうっぽい。」
男子2「結構近いな。」
「……。」
な、なんだろう、凄く胸騒ぎがするよ…(汗)
男子高校生の会話と、窓の景色に私はそわそわしてしまう。
早く、行かなきゃいけない気がする…。
私は新宿駅に着くやいなや、寂雷先生の病院の元へ意味もなく走り出した。
いや、意味はあった。
私が病院の入り口に着くと、何故か看板が【本日休診】と立て掛けられていた。
そして、入り口から髪を束ねた寂雷先生が駆け出てきたので、思わずぶつかりそうになって「おっと」と声を先生は発した。
「せ、先生！」
寂雷「Aさん…！」
先生は私を見るなり目を見開き、わたわたと
何か落ち着かない様子である。
「せ、先生、今日休診って、何かあったんですか？」
寂雷「ああ、実は今緊急事態なんだ。近くで火事が起きてるんだが、どうやら一二三君が巻き込まれてるらしいんだ。」
「一二三さんが……！？」
私の胸騒ぎは、より一層リアルとなった。
寂雷「今、消防車が向かっているらしいんだが、私も駆けつけようと思ってね…。という訳で、今日は休診にしたよ、すまないね。」
「いや、そんな事……それより、早く行きましょう！！(汗)私も行きますから…！」
私もいく、そう言うと一瞬寂雷先生の顔が渋ったような気がした。
寂雷「来てもいいけれど……、くれぐれも危険な事はしないでね。」
「は、はい」
私と寂雷先生は駆け出した。
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作者名：雪ん娘☆ミ | 作成日時：2018年9月18日 18時
