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六十二話 女の子は怖いよ編8 ページ15

観音坂独歩sideつづき

「わ、私も一二三さんが心配です…!だから、その件…私も一枚噛ませてはいただけないでしょうか…?」
Aさんの言うことに頭が追い付かず、沈黙が流れる。

え?一二三を助ける?


もう相談を聞いてくれただけでも、めちゃくちゃありがたいのに?


独歩「い、いやいやいや!!さすがにそこまで迷惑はかけられないです…!」

いくらなんでも、申し訳なさすぎる!

慌ててこちらも手を振り返すと、Aさんも負けじと距離を詰めてきた。


「だめです。…こういう事件は、仲間を増やした方が得策なんです…!」

独歩「そうは、言っても…万が一に君に何かあったら俺は、」

「わ、私はちょっとやそっとじゃ死なないですよ。」


彼女は肩に手をあてながら微笑んだ。


「……普通とは、ちょっと違うから……」


ポツリと蚊の鳴くように、呟いた彼女の目は、


ユラッと悲しみに揺れたような気もして、俺はどう返せばいいか解らなかった。


そうだ、この人は、もう一人の……強いと言われる方の人格がいたんだった。


あまり会わないので頭から抜けていたが、そう考えると心強いような……


しかし見ると、腕も細くて、女の子らしい華奢な体つきからは、もう片方の凶暴さを想像ができない…。


チラッとAさんを見ると、どうやら本気で一二三を心配してくれているようだ。



独歩「気持ちは嬉しいが……危ない目に合わせるわけにもいかない、です。


お願いだから、あまり無茶はしないで下さい…。」


「!、は、はい…。わかりました…!」



パッと彼女は笑顔になり、握りこぶしを作った。

よ、良かったのかな…本当に。不安しかないのだが。

独歩「あ、やばっ、会社に戻らなきゃ!」

「え?ど、独歩さん、まだ仕事あるんですか?こんな、遅くに?」

独歩「ええ。仕事がまだ残ってるんでね…」

皮肉混じりに言うと、彼女は思い立ったように鞄を探った。


「まぁ……あっ、そ、そうだ」

独歩「?」

「はい、これどうぞ…!」


笑顔で手元に渡されたのは、


独歩「缶コーヒー…?」


「さっき買ってたんです。お渡ししますので、残りの仕事も…頑張ってくださいね!」


「あああと、一二三さんに何かあったら、お電話でもいいです…。い、いつでも駆けつけますから」
彼女は会釈をして、去っていった。

そしてついに、俺は思わず膝をついた。


はぁーーーーーー、何だあの人、眩しすぎる。

独歩「先生が気に入る気持ちが解る気がする…」

俺はまだ暖かい缶コーヒーを持ちながら、ボソッと呟いたのだった。

六十三話 女の子は怖いよ編9 ※ちょいいじめ→←六十一話 女の子は怖いよ編7



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設定タグ:ヒプノシスマイク , 飴村乱数 , 逆ハー   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2018年9月18日 18時

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