65 カオルside ページ17
緑茶でよかったかしら？
はい、緑茶。
この世界では少し珍しいわよね。
ちょっと高価だし。
この部屋？
広いでしょう？
キッチンとお風呂も着いていて豪華よねぇ。
ここは飛行船での私の部屋。控室みたいなもの。
あんな囚人だらけの場所じゃゆっくりお話出来ないでしょう。
さて、Aちゃんでいいかな？
さっきは取り乱しちゃってごめんなさい。
そうねぇ、色々聞きたいこともあるんだけど、それはお互い様よね。
私の名前は薫 みゆき。
あなたと同じトリップした人間よ。
念能力はご存知？
あら、Aちゃんも特質系なのね。
私の能力は治癒能力と若返り。
あなたも治癒能力？
ふふ、共有点がいっぱいね。
今はチューマット大学で倫理の研究をしているの。
もちろんハンターライセンスも持ってるわ。
…ほぼまぐれで取ったもんなんだけど。
ええっと、どこから話せばいいのか…。
この世界にきた前後から話していくわね。
私がこの世界に迷い込んだのは18の時で、戦争真っ最中だったわ。
え、そんなに驚く…わよねぇ…。
だって見た目と年齢が釣り合ってないもの。
環境が環境だったからすっかり忘れていたけどやっぱり慣れないわよね。
英語はどこで習ったか？
お父様から教えて貰っていたの。
その時はトリップしたなんて思ってなくて…。
前の世界もこの世界も大差ない。
油断したら死ぬ。
その後、ネテロさんに出会って今に至るの。
落ち着いてきたら今度は前の世界のことが気になってきて…。
お母様も戦争に行ったお兄さん、お父様。
一緒に疎開した友人達も無事に…。
…もう戦争は終わったの？
だいぶ前に終戦した？
そっかぁ…。
ごめんなさい、話が逸れちゃったね。
元の世界も良いものじゃなかった。
でもすごく帰りたくなった。
みんな心配してるじゃないかって。
いや、私が会いたくなっただけなの。
元の世界に帰るための手掛かりなんてひとつもなくて、諦めて、もう一度手掛かりを探して、諦めての繰り返し。
もしかしたら私以外にもトリップした人がいるじゃないかって。
色々な人に声をかけて探していたの。
それで今日あなたと出会えたの。
Aちゃんの今後とか決まっているの？
心理学の勉強をしたい？
じゃあ私の元で勉強しない？
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作者名：名無し37351号 | 作成日時：2017年4月1日 23時
