決行の前夜 ページ2
自室の前の縁側に座り込み、想いに耽っていた。
夜を消してしまう灯りのないこの時代では、満点の星空が広がっている。
貴女「………ふぅ」
色々なことがあった。
この場所に来てから、多くを経験した。
明日、私は一人の人間を殺すのだ。
あの子たちのためと言い聞かせても、平和な世の中で育った私の道徳心が拒絶する。
あの子たちは、大人になれば人殺しを免れないというのに。先生方や上級生は、天女を殺して下級生たちを守ってきたというのに。
私にできないという道理はないだろう。
既に、外出するという話はしてある。
タソガレドキの彼らの協力ででっち上げた適当な店に行くという口実。
以前街に出かけたとき、そこに天女の伝説を描いた書物があるという噂を聞いたので、その真偽を確かめに。
半分真実を織り交ぜたような嘘は、恐らく罷り通る。
これを提案したのは雑渡さんであり、自分の主君に報告もせず動いてくれた彼には感謝しても仕切れない。
小松田さんや四年生には、同じことを言ってある。
先生方には何も言っていない。小松田さんから伝えてくれるだろう。
そもそも、このタイミングで彼らと話をすることは想定外だった。
貴女「うまくいかないもんだな…………」
そうぼやいていると、月明かりに照らされる中で砂利を踏む足跡が近づいてきているのに気がついた。
貴女「……利吉さん」
利吉「隣、いいですか？」
どうぞ、というと彼は私の左隣に腰掛ける。
月明かりに照らされた彼は美形で、天女たちが好みそうな顔をしていた。
貴女「……は組の子達とは、話せましたか？」
利吉「話せました。怒られましたよ、『Aさんに次あんなことしたら許しませんよ！』って。元気な子達です」
貴女「そうですか、あの子達らしい」
.
突如として、利吉さんが話を切り出した。
利吉「貴女に怪我をさせてしまったことは、本当に申し訳ないと思っています。貴女が許しても、私は私自身を許せません。年頃の少女に、怪我を合わせてしまったんです」
貴女「……もともと傷だらけです。お気になさらず」
利吉「………そういえば、そう言ってましたね。故に、貴女は優しいのでしょう」
貴女「優しくなんかないです」
咄嗟に否定すると、彼は私のその言葉を否定した。
利吉「優しくなかったら、あの子達に懐かれないでしょうし、貴女は私を許した。
本当に優しいのは、貴女ですよ」
私は意思なく、それに頷いた。
これからすることを考えないまま。
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柑橘 - この作品が一番好きなんです！いつか最新される日を願っています…！ (3月13日 15時) (
レス) id: 9eaae6032f (このIDを非表示/違反報告)
もち米マン(プロフ) - 更新がありますように…！(*´･ω･) (6月11日 3時) (レス) @page26 id: 483e70a4e0 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん - 更新待機中(*・∀・)つ (5月24日 21時) (レス) @page26 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
光陰矢のごとし(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。個人的に天女ものが大好きでこの作品を読ませていただきましたが、とても読み応えがあって、続きが気になります笑これからも更新頑張ってください！！ (2023年1月2日 22時) (レス) @page26 id: 04bb5063ad (このIDを非表示/違反報告)
にょきにょき(プロフ) - コメント失礼します。3回ほど読み返しましたが設定から内容ストーリーも新鮮で斬新でとても好きです。下級生、くのたまちゃん達が好きなので読んでいてとても嬉しい？わくわくしております！主人公ちゃんには幸せになって欲しいと思いましたね← 更新応援しております！ (2022年9月25日 9時) (レス) id: 7282b40af5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉夜月 | 作成日時：2022年1月7日 1時
