標的295 ページ1
タルボside
目の前の少女が、ほとんど透明になったおしゃぶりを差し出しながら話し出す。
貴「…オレが昨日の夜から透明な炎を意識的に出していたことは話しましたね。」
タルボ「うむ。そしてその力は他者を癒し、あの復讐者を圧倒したこともな。」
貴「その通りです。
オレはそれが『おしゃぶりの泉』とよく似ていることを感じ、泉に夜のおしゃぶりを近づけたところ…おしゃぶりは透明さを増した。
そして、泉の水に溶けているモノと透明な炎が同じであることを確信しました。」
仄暗い和室の中で理路整然と話し出す少女のその姿が…何世紀も前の女性の影と重なる。
かつて夜のおしゃぶりについて共に研究を重ねた、シエロの姿と。
貴「…最初は透明になったおしゃぶりを見て、夜の力がなくなってしまったのかと思った。
でもおしゃぶりの声に耳を傾けたら…違ったんです。」
タルボ「それが本来の属性だと、おしゃぶりは答えたんじゃな。」
貴「はい…やはり、彫金師である貴方も
このおしゃぶりの声を聞いていたんですね。」
タルボ「うむ。最初は不明瞭で何を言っておるかわからなかったがな…
しかし、お主がおしゃぶりを受け入れたことで初めてその声を明確に聞くことができた。
そのおしゃぶりも虹のリングも、全く同じ属性を持つものだと。」
貴「ええ、そしてその属性とは
単に大空と大地の7属性を指すものではない、
もっと別の『なにか』
それを持たなかったシエロは、このおしゃぶりの本来の力を引き出すことができなかった。」
右手の指にはめていた虹のリングを抜き、Aはおしゃぶりの横にそれを置く。
透明なリングには14色の小さな石が横に等間隔で埋め込まれ、指輪を一周している。
貴「少し…不思議に思っていました。
虹のリングがVGになった時、なぜ14色の石をつけて、リングの部分は透明になったんだろうって。
武器に変化しても透明が基調とされてるのはなぜなんだろう…と。
でも、今やっとわかりました。」
この老いぼれの耳にもよく通る声と確信に満ちた表情で、花村Aが告げる。
貴「オレに流れる『本当の波動』は、大空と大地の7属性でも夜でもなく…この透明な炎なんだ。
だから、オレはこの2つに選ばれた。
この2つの本来の属性も透明な炎だから。」
タルボ「…なるほど。
それがお主とシエロやバミューダを区別する、決定的な違いか。」
貴「はい。」
209人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっく(プロフ) - 次は8に行きます! (2017年7月16日 15時) (レス) id: 2f2452dfbd (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - ゆっくりノワールさん» コメントありがとうございます。なんとか7月には終わらないかなーと思っているので、なるべく頑張ります! (2017年7月16日 15時) (レス) id: 2f2452dfbd (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワール - ゆっくり頑張ってくださいね!更新。 (2017年7月16日 0時) (レス) id: 6f03c68297 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - ロンさん» コメントありがとうございます!テスト期間に入りましたので更新まちまちになりますががんばります! (2017年7月15日 16時) (レス) id: 2f2452dfbd (このIDを非表示/違反報告)
ロン - 本当にこんなに面白い話初めて読みました!!続きが気になって仕方がありません!!これからも応援してます!更新お願いします! (2017年7月12日 0時) (レス) id: a6e071bbae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:・ | 作成日時:2017年7月1日 18時