episode9 ページ11
ドゴォォォォォン!!
突然轟音が響き、俺たちの後ろにいた浪士が吹き飛んだ。
「ッなんだ!?」
思わず声を上げる。
壊れた副長室の襖。
ひらりと躍り出た、長く美しい黒髪。
あれは……
「「「Aッ!!?」」」
浪士達がざわめく。
「テメェら!あの女も逃がすな!斬れ!」
頭領と思しき男が叫ぶ。
(ヤバいッ……!!!!)
浪士共が一斉にAの方へと走り出す。
逃げろ、と言おうと口を開く。
その瞬間。
シュ____________ドスッ
有り得ない速さで移動したAが、
いつの間にか手にしていた傘を刀のように振るう。
「「ぐあっ!?」」
1発の攻撃で、ガタイのいい男2人が一気に吹き飛んだ。
「Aッ…!?」
月光に照らされたAの顔。
それを見て、俺達は動けなくなった。
開いた瞳孔。
青紫色の瞳は正気を失っている。
狂ったような微笑みを常時浮かべ、
浪士達を見据えていて______
総悟が思い出したように叫んだ。
「チャイナ……
土方さん、あれ……ッ…
チャイナと一緒でさァ!!」
「チャイナって……万事屋の怪力娘か…?」
アイツもあの状態になった事があるらしいと
総悟は言う。
あれは、夜兎の本当の力なのだと。
「っ……あいつ…俺達に危険が迫ってると
気付いて……?」
俺が尋ねると、総悟はポツリと呟いた。
「たぶんそうでさァ…
チャイナも、メガネ君に危険が迫った時に
覚醒したって言ってやしたぜ……」
「………………ッ!」
山崎は驚きすぎて声が出ないようだった。
俺達がそんな会話をしている間にも、
Aは浪士共を倒し続ける。
ドッ、ガッ、と響く音。
「A……!!!」
俺の声も聞こえていないようだった。
その時。
俺の首筋に、刀の刃が当てられた。
「ッ!」
「それ以上仲間を殺すなら副長様は死ぬぜ。
それが嫌なら……」
ガチャリ、と嫌な金属音。
「ここで死ね」
A……俺は良いから、早く逃げろ……
そう言いたいのに、声が出ない。
すると、Aはゆっくりとこちらへ歩いてきた。
すかさず浪士が叫ぶ。
「オイ!副長様が死んでもいいってのかよ!」
ここでようやく声が出た。
「A!!!!逃げろ!早く!!
俺のことは良いから!!!!
お前は生きていてくれ!!!!頼む!!!!」
だが_______
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作者名:祐衣ヾ(*ΦωΦ)ノ土方love | 作成日時:2017年8月3日 15時