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「兄様をROF-MAO収録に連れて行くなんて無理です!!」
目の前で電話をし、そう弁解するハヤトは冬で部屋は暖房が付いていないにも関わらず、額に薄ら汗をかいていた。
ハヤトを焦らせるなんて、中々やるな。と思いながらタブレットでニュース記事を見る。
某ニュースアプリでにじさんじのチャンネルができたことを嬉しそうに報告してきたあたりから、毎日見ているこのアプリ。
…言ってはいなかったが、実は俺の声が配信に載ってしまったことは大々的にニュース記事にされていた為、ハヤトに言われる前から知っていた。
だが、知らないフリをしたのはハヤトの為でもあった。
きっと、それを知ればハヤトは傷付くだろうから本人が言い出すまで黙っていた。
ネットに疎かったのも事実であれば、ハヤトの活動について全く知らなかったのもまた事実。
迂闊な行動をするべきではなかったと、ハヤトに知られないところで後悔していた。
だが、今では何故か俺もハヤトとほぼ同業者のような立ち位置でにじさんじに所属してしまっている。
未来とは、よくわからないものだ。
そして、今ハヤトが受けている電話もしたり。
「安全な企画だから大丈夫って、貴方達がそう言って安全だったこと殆どありませんからね!?兄さんに変われ、って貴方達ねぇ…!」
『ハヤト』
声をかければ、ハヤトはこっちを見たあと渋々変わる旨を相手に伝えてこっちにスマホを渡してくるわけではなく、スピーカーにしてテーブルに置いた。
「もしもし」
『もしもし』
「良かった、ちゃんと社長のお兄さんだ。お久しぶりです、というほどでもないですね。こんにちわ、ROF-MAOの剣持刀也です」
「不破湊ー!」
「甲斐田晴でっ、ちょアニキ重いっ!!!!!」
賑やかな声が聞こえてきて、俺はハヤトと顔を見合わせてすぐにスマホに視線を戻す。
「ROF-MAO出演のオファーをしたかったんですけど、お兄さんにはまだマネージャーさんが居ないということで、社長に確認しに来たらあんな感じだったので本人に話を聞いて頂こうかと」
『あぁ、構わない。それとそっちはガヤがうるさいな?』
「あ、すみません。ちょっと、静かにしてくださいよ」
「おい甲斐田ァ!!!!」
「甲斐田のせいじゃないって!?」
緩い雰囲気にタブレットに触れていた手を離した。
『企画内容によってはそのオファー、受けなくはない』
そう言うと、不破という奴が「マジすか!?」と大声をあげた。
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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時