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「……兄様?」
今日は早帰りだった兄様が私が普段使っているブランケットに包まっている現状に困惑する。
『…遅い』
むすっと少し膨れた顔でそう言う兄様に「えっ、可愛い」とつい零す。
兄様の愛らしさに思わず天を仰いだが、すぐに視線を兄様に戻した。
「今日はどうしたんですか?今日は迎えがなかったので誰かに拐われたのかもしれないと不安になっていたんですけど」
いつも早帰りのときは迎えに来てくれる兄様の迎えがなく、今日はあり得ないほど急いで帰って来た。
良かったです、拉致とかされてなくて。
『…ハヤトが』
「私が?」
『いつか、俺と違う場所で暮らし始めたらって思うとヤになって』
「…ほう」
それは俺がいないと駄目になっているということで合ってます?
「大丈夫ですよ。俺は兄様から離れる気は更々ありません。寧ろ、兄様が俺から離れないか毎日心配なんですよ?兄様は顔はいいし、収入はあるしで優良物件でしかないから誰かに取られそうで怖いんです」
毎日女性に言い寄られてるの、知ってますよ。
その女性が兄様の表面しか見てないのも、知ってますよ。
「兄様の笑顔も、泣き顔も、困り顔も、本当は俺が全部独り占めしたい」
俺の前でだけ目を細めたり見開いたり、口角を上げたり下げたりして欲しい。
でも兄様が1番知られたくない顔を知っているのは俺だから、なんて優越感で抑え込んでる。
言っても何処か哀しげな目の兄様に、交渉を持ちかける。
「じゃあ今度、2人で遠出しましょう。誰にも知られないように、2人だけで」
代表取締役としての業務や責務もライバー活動も、兄様の哀しげな顔と比べれば全然取るに足らないもので。
「俺は、兄様の笑顔が1番見たいです」
兄様の真似をして開けたピアスホールも、いつの間にかに兄様より多くなってしまっていて、何とも言えない気持ちになる。
最初は兄様とお揃いをしたかっただけだったのに、いつの間にこんな増えたんだろうか。
ずっと、同じピアスをし続けている兄様とは離れてしまった。
「…兄様、今度ピアスを買いに行きませんか」
『…ん』
兄様の首にキスをして、強く抱き締める。
「今日は刃牙の話でもして、何もかも忘れましょう」
『…ん』
机に広げられている書類をまとめ、パソコンをシャットダウンさせる。
「今日はゆっくりしませんか。普段勤勉だから、きっと神様も許してくださいますよ」
『…する』
【切り抜き】出掛け先でまさかの人達と出会う加賀美兄弟【加賀美兄弟/2j3j】→←【切り抜き】兄様に関する質問に答えてくれる社長と逆襲してくる兄様【加賀美兄弟/2j3j】
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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時