好きなものが13つ ページ13
『オフに呼んでおきながら、用事は髪のセットだけなの何なん』
「悪気はねぇって。スタイリストが休みなんだから仕方ないだろ〜?」
『俺も休みだったわアホ』
スパン、とまだ櫛を通す段階から進めてない頭を叩く。
「ってぇ!」と頭を押さえるのは、長尾景。
顔と行動が合ってないと言われている男。
『っはぁ……おら、はよ後ろ向け。セット出来んやろ』
そう言うと景は素直に後ろを向いて、無駄に長い髪を俺に見せた。
『ってか、お前何でこんなに髪の毛長いん。ケアとか大変そうで見るのも嫌になんねんけど』
「んー…さぁ?気まぐれ」
『ほーか』
櫛を持って髪に通せば、少し引っ掛かるくらいですぐにすとんと毛先まで落ちる。
…女顔負けのサラサラ髪だなおい。
『今日着る服は』
「あれ」
景の指す方向を見れば、そこに乱雑に置かれた服があった。
『あれ店のもんなんやから大事にしーや。ボーイが大変になるんやから』
俺がそう言うと、景がもぞもぞと動く。
『動くな、どアホ。動いたら崩れるやろ』と言いながら櫛を渡せば、大人しく受け取った。
「今思ったんだけど、Aって何でそんなにボーイの仕事内容分かんの?他の奴に聞いても、みんな知らないって言うのに」
『元々ボーイやったからやけど』
俺がそう言うと妙な沈黙が流れた。
「え?ちょ、もっかい言って」
『元々ボーイやったからやけど』
宇宙猫(景)が完成した。
「え、Aが?ボーイやってた?」
『何回言えば分かんねん…。何年も前に、ここじゃない店でやっとった。そこを、翔に拾われた感じやな』
「へ〜。おもしれー話聞けちゃった感じ?」
そう言う景と鏡越しに目を合わせた後、俺は首を振った。
『そんな面白い話とちゃうで。そりゃここのボーイを見たら面白いと思えるかもしれんけど』
髪を縛り、いつもの髪型にしてやれば「あんがとー」と言われる。
俺は『おう』とだけ返事をして、カバンを持つ。
「んで?何で面白くないわけ?」
ぐるり、とこっちを向いてそう言う景を見下ろす。
面白い話とちゃう言うてるやろ。
『普通のボーイの話やで』
「普通だったら支配人でさえ知らないボーイの仕事知ってるはず無いんだけど」
うるさい。
「で?」
うるさい、
「何か言ったらどーですかぁ」
うるさい
『うるさい!!!!!』
俺の気も知らないで、ズカズカと踏み込みやがって。
バリ、と景の背後で鈍い音がなる。
『研修の時言ったよな、深堀りすんなって』
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????(プロフ) - 待ってッッッ⁉︎ njsjライバーだけじゃなくてc|rのstrmさんまで出してくれるんですか、、、‼︎ しかもdrskとか需要ありまくり感謝ですm(_ _)m 最後の翔とのイチャコラてぇてぇもごちです これからも更新楽しみに待ってます(´∀`*) (11月1日 2時) (レス) @page33 id: f2ebaa7bc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年9月28日 19時