1作品目-11 ページ26
「目標、指定の位置に確認。…頼みますよ。」
「あぁ。」
弾丸が空中を駆けて、一直線に向かうのは。
窓ガラスの割れる音と共に、男の脳天に風穴が空く。
男の身体がグラリと揺れた。
左から弾丸を受けた影響で右に倒れ、事切れる。
流れる血液が、シーツに血溜まりを作った。
「
「お疲れ様でした。」
インカム越しに2人の会話が聞こえる。
癒しだなぁ、と思いながら何も話さないでいると
自分の
「大丈夫ですか?」
『…え?あ、あぁ、うん。…平気だけど。』
「問題無いだろう。…恐らくいつものヤツだ。」
「あぁ…なるほど。」
『流石だなぁ…一言二言で分かり合えてる…。』
自分の事を言われているとは気付かずに興奮する。
2人の大きな溜息が聞こえた。
「はい、そこ、早く引き上げて下さい。」
「気を抜くなよ。」
それだけ言われると、
無情にも無線が切られてしまった。
『すぐ切られちゃったな…。あ、もしかして…、
2人で話したかったのかな?なるほどなるほど…。』
壮絶な妄想を頭の中で繰り広げながら、
1人ニヤケ顔でパーティ会場を後にする。
2人に何事も無いとは考えもせずに。
「うわ…なんか寒気が…。
あいつ、また変な妄想に耽っているのか…?」
「…恐らくそうだろうな。」
初任務で緊張が解れているのは、
喜ばしいことではある。
_が、誤解によって成り立っている事を考えると、
頭が痛くなってくる。
嫌いな奴と仲良しだと思われる事が
こんなにも苦痛だとは…。
バーボンは、優雅に一服しながら空を眺める
グリーンアイズの男を見つめた。
「…そう睨むな。」
「別に睨んでませんけど。…自意識過剰では?」
「あぁ言えばこう言うな、お前は。」
バーボンとの会話に嫌気がさしたのか、
ライは煙草を携帯用の吸い殻入れに入れ、
足早にその場を立ち去った。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2021年2月13日 23時