第10話-6 ページ49
「ん、良い子。…それにしても何で急に不安になっちゃったの?」
『男子が話してたの、1番愛情を表現する方法はキスだって。なら、キスをしてこない霧原は、私の事好きじゃないんだって、そう思って』
「………うん、おさげちゃん。それ多分お互い好き同士で付き合ってる場合の話だよ。俺の一方通行なのに手を出す訳ないでしょ。それに、いくらおさげちゃんが恋愛初心者で、チョロくて甘言にすぐ唆される性質でも、好きでもない奴からキスされるのは躊躇ってね」
『そ、そんな考えなしじゃないし…!』
「話聞いて俺にすぐ突撃しに来る辺り、かなり考え無しだと思うけどね…俺は」
『だって…』
霧原だから、気になっちゃったんだよ。…アンタの好きを、信用したかったから。
そんなことを言うのは何だか恥ずかしくて、押し黙る。そんな美月に続きを催促するでもなく、彼は溜息を吐いた。
「でもさぁ、おさげちゃんへの気持ち…、まだ信じてもらえてなかったのは、ちょっとショックだったなぁ。俺結構傷付いたんだよ、コレでも」
『それは…、伝わったけど』
「じゃあ、1つ、俺のお願い聞いてくれる?…それでチャラにしてあげるから」
『変な要求だったら断るけど。…私のできる範囲でのことなら、善処する』
「うん、それで良いよ。じゃあ、俺からのお願いね。本当に"シて"欲しいんだったら、ちゃんと"シたい"って言うんだよ。…勿論、相手に好意を持った上で」
何だか、その要求は「俺に対してじゃ無くても良いから」と言われた様で、少し突き放された様に感じた。
『………アンタは、それでも良いの』
私が彼以外の人を好きになって"シたい"と意思を告げ、"そういうこと"をする状況になったとしても、彼は構わないと。
………本当に?
「ん?そりゃあそうだよ。君の意思が最優先だからね」
そういう彼の瞳には、一点の曇りもなかった。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2023年8月20日 13時